宣言、君の隣で生きます【赤】

2話 ページ2

Aside

　莉犬くんに言い過ぎてしまっただろうか…？

　歌い手を諦めて欲しくなくて、

　頑張って欲しくて、

　リスナーさん全員に莉犬くんを認めてほしい。

　そう思って放った言葉だった。

　莉犬くんとは高校が一緒で同じ部活に入っていた。

　私も家の事情で退部したんだけどね。

　性同一性障害の事を聞いたときは驚いた。

　正直、めっちゃ驚いた。

　でも、そんな事で莉犬くんを嫌うはずはない。

　莉犬くんの少しドジなところ、

　格好いいところ、

　可愛いところ、

　不器用なところ、

　全部大好きだった。

　男だろうが女だろうが関係ない。

　莉犬くんは莉犬くん。

　君は君だ。

　私は莉犬くんが男って自分に言ってくれた事が嬉しかった。

　だから、リスナーさんにも話して、分かってもらおう。

　そう、私が言ったのが始まりだった。

　今思えば、私がこんな事言わなければ…

　莉犬くんは辛い思い…しなくても良かったんじゃないかって思うけど。

　でも、言えば少し楽になれると思う。

　私は心に決めた。

　“莉犬くんの隣で生きる”

　私はそう勝手に宣言した。
　
　


　

3話→←1話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す