もう、逃げられない…【跡部景吾】

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さすがに氷帝に戻ってすぐ逃亡はリスクが大きすぎた…！








私が逃げたせいでお父様の偽の熱愛報道が出回ってしまった




家に帰っても、きっと居場所だってない









流れた汗が、目に入って痛い



身体に酸素が行きわたってなくて苦しい






それでも、私の足は止まらなかった









ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ









見慣れた景色が見えてくると、私はその異常さに気付いて足を止めた









赤









家を見た瞬間、私は膝から崩れ落ちた




＿＿＿＿＿＿私の、私たちの家は燃えていた









『嫌…嘘…こんなの、』









涙が、頬を伝った









私が反抗したから…！



私が逃げなければこうならなかったのに…









それでも、これが«現実»だと目の前の光景は物語り続けた









『お母様…お父様…奥山さん…ごめんなさい、私のせいで…私の、せい、で…』








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「そうだ、お前のせいだな」









崩れ落ちた私の前に立ち止まり、しゃがみこんで私と目線を合わせた男



指で、私の涙を拭ったその男









『…っ』







「お前が逃げなければ俺様がこんなことをする必要も無かったのにな…



まぁ、全て想定内だったが」









悲痛で歪んだ私とは裏腹に、景吾はとても穏やかに笑っていた








「もう分かったろ？俺からは逃げられねぇ…」









そう言って景吾は私を抱き締めた



力が入らない私は景吾に完全に身を委ねた









サイレンの音が遠くに聞こえて、私は意識を手放した








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