第二十五話【アクィラ・ファミリア】 ページ5
「敦さんはアクィラ・ファミリアはご存知ですか？」
「アクィラ・ファミリア？」
敦は聞きなれない単語に首を傾げた。私は鏡花に目を向けると、鏡花は首を振った。
「アクィラ・ファミリアは欧州を拠点に置くマフィアです。小中企業から大企業まで......多く企業を傘下とし、巨大な資金力を保有するマフィア。まぁ、欧州版のポートマフィアと思ってくれたら話が早いです」
「はー......それで、そのアクィラ・ファミリアが如何したんですか？」
敦は私に訊いた。
私は周りを少しキョロキョロと見渡すと、二人に顔を寄せた。
「昨日、そのアクィラの首領がこの地......ヨコハマにお忍びで来たらしいのですよ......」と周りに聞こえないように小声で言った。
「えっ？アクィラの首領が......？」
「一体どうして......」
二人が驚くのも無理もない。この界隈では有名な人物がこのヨコハマの地に降り立ったのだ。この話を聞くだけでも、誰もが目が飛び出るような情報だ。
私は体を起こし、元の姿勢に戻した。
「そこに関係してくるのが、関西を拠点とするヤクザ......天城会です」
「天城会？何だか話がややこしく......」
敦の頭の上に再び疑問が浮かんだように見えた。
「まぁまぁ説明はちゃんとしますから......それで今から六年前、天城会は勢力拡大としてこのヨコハマに進出した。しかし、五年前......天城会は拠点である関西に撤退した」
「僅か一年でですか？」
「えぇ、天城会は麻薬の取り引きで裏市場に名を馳せていましたが、ポートマフィアにその取引の存在が明るみになった。後はご想像のままです。マフィアから強襲を受けた天城会は撤退を余儀なくされた。そこに目を付けたのがアクィラの首領でした。アクィラの首領は欧州で力をつけた後、海外進出する機会を伺っていました。それもこのヨコハマにです」
私は話を続けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：トキハル | 作成日時：2019年11月17日 14時
