1 ページ2
目の前に提示された選択肢を言われた通り自ら選ぶ。
「...一緒に行く」
「わかった。ついてこい」
後ろを向くと、雪山を滑るようにガラクタの山を器用に滑り降りた。
「え、ちょ、君の名前は？」
「俺はクロロだ」
「クロロ...」
「ほら、はやくこい」
クロロに急かされるが、当然彼のように降りられるわけもなく。
一歩一歩ガラクタを踏みしめる。
生ぬるい風と、鼻につく異臭。
生理的に受け入れがたい環境だ。
大きなガラクタを足場に下っていくが、足元のガラクタがバランスを崩した。
「わっ！？」
前に投げ出され、またも身体が中に浮く。
「Aっ」
クロロは少し焦ったように黒い瞳を見開いた。
そして、重力に従う私の身体を受け止めてくれる。
が、反動でそのまま後ろへ倒れてしまった。
「またか...お前重すぎ、それとトロい」
「うっ、返す言葉もない」
痛みのせいかこの状況のせいかクロロは不機嫌に私を見上げている。
急いで退くと軽く身体を払いながら起き上がった。
「まったく、ほら手をかせ」
「え、あっ」
返事をするまもなく手を引かれ歩き始める。
ガラクタに躓くたびクロロが支えてくれた。
夕暮れの赤に染まる小さい後ろ姿は頼もしく見える。
しかし、クロロの背中をはじめとし首や腕、足に切り傷があることに気付いた。
私にはその思い当たる節がある。
「クロロ、本当にごめんなさい」
私の足にも似たような切り傷があった。
それはこのガラクタの山を歩いていてできたもの。
つまりクロロの傷は二度も私が下敷きにしてしまったからだ。
「...これぐらいここじゃ当たり前だ」
何について謝ったのか察したクロロは振り返らずに淡々と言葉を続ける。
「もしお前が悪いと思っているなら、これからそれを返せ」
「...わかった、このお礼もお詫びもこれから返してく」
「ま、期待はしていない。それだけここは、生きるのが難しいのさ」
足を止めるクロロ。
その前には密集した廃墟のような建物が建ち並んでいた。
「ようこそ、流星街へ」
クロロの後ろを歩きながら街を見回す。
廃墟のような印象はあるが、外観はそう酷くないものもある。
その中で驚くのは人種の多様さだった。
肌の色、髪の色、目の色、顔立ち、体格、様々な人種が入り乱れている。
「クロロもここに住んでるんだよね？」
「あぁ、仲間とな。この先のにある街からは少し外れた所だ」
日は完全に落ち、松明の僅かな灯りとクロロの手を便りに道を歩いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 54人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：００ | 作成日時：2019年6月24日 13時
