初夏の神奈川探索に繰り出すぞ! ページ25
桜が散り、初夏の陽気が若葉を茂らせるある日の放課後。
第二音楽室、もとい夜陣が確保したDTM部の部室には夜陣の他にせいか、レーレ、龍華、樹が大きな円を描くような形で座っていた。
皆の目線の先、教卓には夜陣がいた。
教卓に手首を着いた夜陣は機嫌良く話し出した。
「一応体験入部期間が終わって、今年度のDTM部は五人でスタートを切ることとなる。部長は当然このオレ、夜陣疾風だ。よろしくな。
その他の役職にいては、今から発表する通りだ。
副部長 龍華優雅
会計 流せいか
書記 出蔵レーレ
庶務 樹都織。
異論のあるやつはいるか」
せいかは会計の重圧に青褪めて周りを見廻したが、その他の部員はそれなりに自分の役職に満足している、という表情をしていた。
特に龍華は副部長の立場を噛み締めているようだった。
「そゆ、何とか長とか、ガラじゃねーんだけどな」
などとぼやきながらもにやにやしている。せいかと同じくきょろきょろしていた樹は、真っ先にせいかの不安そうな表情に気付いたようだった。
「せいかさん不満気ですね?」
「そうね、書記のレーレちゃんに並べるわけないことは分かってるけど、私ステータスは容姿に振ってるところあるし、残り少ない中身も文系だから……。
計算が必要とされる会計には萎縮しちゃうかな」
樹は顔を輝かせた。
「オレ理系なんすよね!
オレの庶務と会計、交換してあげてもいいっすよ」
「そ、そうね」
せいかは庶務という響きに戸惑ったようだが、頷きかけた。
すると、夜陣が教卓で黒い雰囲気を醸し出し始めた。
「この役職の采配にははっきりとした意味がある……。
樹!
お前この前の盗作のこと、肝に命じろと言っただろう!
命じていたら、庶務に甘んじるはずだよなぁ。
会計なんざ、任せられるか!」
樹はけろりとしている。
「やだなぁ、夜陣さん、オレが部費を使い込むとでも?」
「そこまで直接的なことは言ってないぞ。だが、お前は色々緩いから却下だ」
「心外ですね。緩いのは表情だけですよ。
生まれつきベビーフェイスなんですー。
夜陣さんみたいにせいかさんとレーレさんに二股かけてないしー」
「夜陣くん、やりたい気持ちっていうのを加味して采配するのも大事と思うの」
せいかも樹に賛同するようなことを言ったので、夜陣はイライラし出した。
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作者名:ルスブ | 作者ホームページ:http://twitter.com/rusbsss
作成日時:2022年9月9日 10時