検索窓
今日:3 hit、昨日:4 hit、合計:5,230 hit

初夏の神奈川探索に繰り出すぞ! ページ25

桜が散り、初夏の陽気が若葉を茂らせるある日の放課後。

 第二音楽室、もとい夜陣が確保したDTM部の部室には夜陣の他にせいか、レーレ、龍華、樹が大きな円を描くような形で座っていた。

 皆の目線の先、教卓には夜陣がいた。

 教卓に手首を着いた夜陣は機嫌良く話し出した。

「一応体験入部期間が終わって、今年度のDTM部は五人でスタートを切ることとなる。部長は当然このオレ、夜陣疾風だ。よろしくな。

その他の役職にいては、今から発表する通りだ。

 副部長 龍華優雅

 会計 流せいか

 書記 出蔵レーレ

 庶務 樹都織。

異論のあるやつはいるか」

 せいかは会計の重圧に青褪めて周りを見廻したが、その他の部員はそれなりに自分の役職に満足している、という表情をしていた。

 特に龍華は副部長の立場を噛み締めているようだった。

「そゆ、何とか長とか、ガラじゃねーんだけどな」

 などとぼやきながらもにやにやしている。せいかと同じくきょろきょろしていた樹は、真っ先にせいかの不安そうな表情に気付いたようだった。

「せいかさん不満気ですね?」

「そうね、書記のレーレちゃんに並べるわけないことは分かってるけど、私ステータスは容姿に振ってるところあるし、残り少ない中身も文系だから……。

計算が必要とされる会計には萎縮しちゃうかな」

 樹は顔を輝かせた。

「オレ理系なんすよね!

オレの庶務と会計、交換してあげてもいいっすよ」

「そ、そうね」

 せいかは庶務という響きに戸惑ったようだが、頷きかけた。

 すると、夜陣が教卓で黒い雰囲気を醸し出し始めた。

「この役職の采配にははっきりとした意味がある……。

樹!

お前この前の盗作のこと、肝に命じろと言っただろう!

命じていたら、庶務に甘んじるはずだよなぁ。

会計なんざ、任せられるか!」

 樹はけろりとしている。

「やだなぁ、夜陣さん、オレが部費を使い込むとでも?」

「そこまで直接的なことは言ってないぞ。だが、お前は色々緩いから却下だ」

「心外ですね。緩いのは表情だけですよ。

生まれつきベビーフェイスなんですー。

夜陣さんみたいにせいかさんとレーレさんに二股かけてないしー」

「夜陣くん、やりたい気持ちっていうのを加味して采配するのも大事と思うの」

 せいかも樹に賛同するようなことを言ったので、夜陣はイライラし出した。

26→←24



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (24 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
6人がお気に入り
設定タグ:青春 , 音楽 , オリジナル   
作品ジャンル:純文学, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ルスブ | 作者ホームページ:http://twitter.com/rusbsss  
作成日時:2022年9月9日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。