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何で二人とも負け犬っぽくなってるのよ、男の子って不思議ね。 ページ15

投票結果は、三対二の比率で龍華とせいかペアが勝ちであった。

 勝ちが確定した瞬間、龍華は口角を釣り上げ、夜陣に言った。

「信頼の勝利だナ」

 しかし、夜陣は顔色ひとつ変えず投票用紙のコメント欄を何枚か流し見ると、

「これでもお前は歌姫せいかの実力を引き出したと胸を張れるのか?」

と投票用紙を龍華に叩き付けた。

 寄せられたコメント欄の記述の大多数に龍華は戦慄した。

 歌姫せいかのことなどほぼ書かれておらず、龍華のピアノ技巧を喝采するコメントばかりだったのだ。

レーレを褒めるコメントのほうがせいかを褒めるコメントよりはるかに多かった。

 というか、せいかは「ピアノに盛り上げてもらってるー!」とか「ミスせいかさま、いっぱいいっぱいだね」とまで書かれていた。

 龍華はうなだれて、ぼそぼそ言った。

「実質オレの負けダ……。

歌姫を輝かせることが、できなかったんだからナ。

DTM部に入部して、精進スル」

 冷たく笑む夜陣。

「結局、歌姫を道具と思ってたって、実力を引き出せればいいんだよ!」

 今回ばかりは何も言い返せず、せいかにコメント欄を見られないように投票用紙を処分しに部室を出る龍華。

 とたんに夜陣が壁をドン!

と叩いた。

「夜陣くん? どうしたの」

「勝利感を演出してみたから、体裁は保てたが、オレが負けた事実は変わらない……

次は絶対数の上でも負けねー!」

せいかはやれやれといった顔をした。

「何で二人とも負け犬っぽくなってるのよ、男の子って不思議ね。

同じ負け犬でも龍華くんは私がコメント読んでキズつかないように配慮してくれた。

それに比べて壁ドンしてる夜陣くんなんて、ほんとにかっこよくなーい!」


するとその時のんきな声が響いた。

「あれー?

ここってDTM部ですよね、壁ドン部……でしたっけ?

女の子にやれるならそれもいいけど、見た感じひとり壁ドンってかんじでつまらないなぁ」

 夜陣、せいか、レーレの三人が声の方をみやると、そこには大きな瞳に太い眉の爽やか美少年が、ブルーのとげとげ頭をかしげて立っていた。

 夜陣が鋭く叫ぶ。

「樹! 先ほどの勝負もお前のギターソロが生演奏だったなら行方は分からなかっただろうに。

マイペースに遅れてくるのもほどほどにするんだな。

もっとDTM部の新入部員としての自覚を持て!」

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設定タグ:青春 , 音楽 , オリジナル   
作品ジャンル:純文学, オリジナル作品
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作者名:ルスブ | 作者ホームページ:http://twitter.com/rusbsss  
作成日時:2022年9月9日 10時

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