ひとりにしないで

ホワイトデー　＊ ページ33

「ドンヘ、最近ちゃんと肌管理してるのね」



メイクスタッフが驚いたように俺に言ったので、携帯から顔を上げた

「今日はそんなにしなくていいね」と眉を整えてくれる

たしかに…鏡の中の自分は前より肌つやがいい気がする

酒…辞めたからかな



「キュヒョンにも見習ってほしいけど」


「キュヒョン？なんで、あー…また遅くまでゲームでもやってたんじゃないの(笑)？」


「聞いたら、なんだか最近チョコレートとワインをセットで飲むのにハマってるとか言ってたのよ、ほどほどにしてこっちのことも考えてよね」


「はは(笑)……ん、チョコレート？」


「そう、ドンヘも、しばらくは大きいコンサートも続くし気を付けてね」



……チョコレート？

キュヒョンが…？

………チョコレートだって？



「スタッフの皆さん、いつもありがとうございます！これは僕らからということで〜」



トゥギヒョンが大きな声とともに、部屋の中央に沢山の包を置いた

山積みに置かれたそれは、たくさんのクッキー



「ね、ヒョクチェ、あれ何？急にどうしたの？」



小声で聞くと、ヒョクチェにため息をつかれた



「今日ホワイトデーだろ？スタッフの皆から前にチョコケーキ貰ったじゃん、そのお返しだよ」


「ああ、ホワイトデー……チョコケーキ…」



チョコレートと聞けば、あの子を思い出すのは簡単で、

ふふ、と可愛らしく笑う幸せな子犬

そっか、バレンタインデーの頃は俺も仕事だったし、

丁度メッセージを始めたばかりの頃だったから…



…って、何で仲良かったら貰えるって思ってるんだろう；



「そう言えばドンヘ、おまえは？用意した？」


「いや、貰ってないからさ……逆にあげてもいいものかな？いつものお礼に、とか…」


「？……貰ってたろ」


「え？Aからこないだ貰ったのはバレンタインじゃないよ、ただのおかえりチョコだし」


「……そっちじゃないよ」



ヒョクチェのその言葉に、顔をそちらに向ける

途端に、勘違いに恥ずかしくなった

少し驚いたような親友の顔



「あ…そうだね……いや、でも……あっちは、持ってっても受け取ってもらえないから」


「…」



チョコレートはたしかに貰った

真心ではない、バレンタインチョコレートを、

あんな意味のないチョコレートを…



「…マネヒョンに相談するよ」


「おう…」


「！…」






ブルーになりかけたその時、届いた一通のメッセージ



『マル、今週店に寄れる？』

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