２９７話大丈夫 ページ35
「寂しい……か」
決勝戦前、私は無意識に修也や親しい人に距離が近かったことを思い出す。
寂しいから誰かの近くに……触れ合っていたかったんだ。
まったく……自分の感情がコントロールできていない。
ぽたぽたとまだ流れる涙を服の袖で拭う。
「目を擦らない方がいい」
「！す、すみません。起こしてしまって」
ベランダは隣の部屋にも繋がっていてそれは修也のお父さんの部屋とだった。
まさかの修也のお父さんも出て来るとは思わなかった。
「私も外の風に当たりたかっただけだ。気にしないでくれ。
それより家では夕香が常に一緒にいただろう。すまないな」
「いえ……私も、嬉しかったので。
あ、ごめんなさい泣いていたのは……その。ホームシックになっちゃって！」
「……構わない」
突然こんなことを言われて、修也のお父さんは困ってしまっただろう。
そのまま無音で風が通り抜ける音だけがする。
「修也は……ライオコット島ではどうだったんだ？」
なんだ、気になっているんじゃん。私は安心して喋り出す。
「いつも通りでしたよ。炎のストライカーとして……イナズマジャパンを引っ張って、とても頼もしかったです。
私も、何度も彼に助けられました」
「……助けるか」
修也は、お父さんに「サッカーで人が救えるのか」という言葉を言われたという。
だけど最後には分かってくれた。応援をしているということを。
親子そろって、口下手なんだから。
「私は……目の病気を抱えているんです」
「目の……」
「それは、私だけの病気で……治る方法も、良くなる方法もよく分からない。
病名もついていないやつで……」
「……」
「そもそも病気なのか、私だけの特性なのか……分からないのが怖くて、いつも逃げていた。
人からも、サッカーからも、何もかも。
だけど逃げないことと、一人では立ち向かわず人に相談をすることを教えてくれたのは修也で。
私のことをいつも心配してくれたから助かったんです。
試合を始まる前に、絶対に『大丈夫か？』って聞いてくるんですよ」
くすくすと笑う私を、修也のお父さんは静かに聞いている。
「……それは修也が……母に、いつも言われていたからだろう」
「え？」
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机田(トラさん)(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます！楽しんで読んでいただいて何よりです！続編まで読み直していただけるとは嬉しいです！また続編でもよろしくお願いいたします！ (12月30日 21時) (
レス) id: 8b84652de6 (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - 世界編完結おめでとうございます！１読者として楽しく読ませていただきました！続編までもう一度読み直して来ます｡◕‿◕｡ (12月28日 21時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
トラさん(プロフ) - パティあすさん» コメントありがとうございます！毎日たくさん更新してよかったです！続編はもう少し先にはなりますが、気長に待っていただければと思います！ (12月20日 19時) (レス) @page44 id: a7a65d978c (このIDを非表示/違反報告)
パティあす(プロフ) - 世界編完結おめでとうございます！毎日楽しく読ませていただいていました！続編も楽しみに待ってます！ (12月20日 19時) (レス) @page44 id: eca4eceaa9 (このIDを非表示/違反報告)
ポッキー - ありがとうございました。楽しみにしています。頑張ってください。 (12月13日 14時) (レス) id: 5224796705 (このIDを非表示/違反報告)
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