二十八話 ページ47
言いたいことは沢山あった。けれど、何一つだって言葉に出来なかった。
でも、今はそれでよかったかもしれない。長く話している時間はないから。
また会う。その約束を覚えて、旅館を去る。
「次は誰の元に行けばいいのかな」
「そうだね…琥牢山にいって「理水畳山真君」に会いに行こうか」
「Aさん、随分早かったけど魈とは話できたのか？」
「あぁ、それはまた後にするってことにしたんだ。千年も経ってるからね。話したいことがたくさんで今話してたら長くなっちゃうから」
「千年って…Aさん今何歳」
「さっ、理水に会いに行こうか」
女性に歳を聞くのは失礼に当たるよという言葉は敢えて飲み込み、少年を置いていく素振りを見せるようにして琥牢山への道を進む。
空もパイモンも置いていかれてはたまらないのか、急ぎ足で私の後についてきた。
琥牢山を前にして少し思い出したことがある。この琥珀が至る所に生えている琥牢山だが、あの大きな琥珀たちは理水が侵入者を拒むために植えた花からできたものだったはず。確か、踱山葵だったかな。
花を踏めば琥珀が産み出され、侵入者を琥珀の中へと閉じ込めるもの。
そんなもの、もし空が踏んでしまっては危ない。透視を使って花が埋まっていない場所を歩いていく。
「空、君は元素視覚は使えるかい？」
「え？はい、使えます」
「なら良かった。跡を残しておくから私が踏んだ足場を歩いてついてきてくれるかい？」
「どうしてですか？」
「うーん…まぁ、仙人の棲む山だからね。色々あるんだよ」
こう言ったものは言った方が寧ろ悪影響になるかもしれないと思い、あえて伝えることはやめた。
足元に琥珀で閉じ込めてくる罠がある、なんて言われたら自分でも恐ろしくて進めなくなりそうだ。
空が琥珀の中に捕まったら、私の力で琥珀を割るのは無理だ。無意味な体力消費は遠慮したい。
「Aさん」
「んー、なんだい？」
「千年も経ってるってどういうこと？」
琥牢山の山道を歩む途中で空の少年は再び同じ質問をしてきた。
おそらく、私が回答するまで質問を止める気はないのだろう。まぁ、ずっと答えをはぐらかしてきたし、当然のことではあるけれど。
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りー - 理由把握いたしました。先日は失礼なこと言ってしまって申し訳ありません。五月病など無理なさらないでくださいね。 (2021年6月3日 17時) (
レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
りる - とりまろ。様はもう小説は書かれないんですか…？ (2021年5月31日 7時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
り - すみません絵じゃなくて小説です…誤爆しました… (2021年5月26日 18時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
り - イッキ見しました…ひゃえ…大好きです主様の絵好きです更新まってます！！ (2021年5月22日 0時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
星 - 小説とても面白くて大好きです！更新頑張って下さい！ (2021年4月25日 14時) (レス) id: 43b4052d04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とりまろ。 x他1人 | 作成日時：2021年3月31日 20時
