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背中に11 ページ13

「電車通だったよな」

「はい。そうです」

「電車の時間いつだ?」

「あ、…えっと…調べます」

丁度手に持っているスマホで時刻表を調べる

今は7時半だから、このままの調子で駅に歩いて…

「わっ…」

「危な」

急に、目の前に、水色と白のジャージが写った

というより、それしか写ってない

上を見上げれば岩泉先輩の顔が…こんなにも近い

小さく、規則正しい心臓の音が感じられた

「あっぶねぇ…
今の車前見てたのかよ…
こんな夜にこんな狭い道であのスピードは出しすぎだろ」

丁度私の横をブォーンっと音を立てて通っていった車に岩泉先輩は悪態をついた

「大丈夫か?」

「は、はい」

自分の声が震えた

そんな、車のスピードが早いとか、若しかしたら自分は跳ねられてぽっくりこの世から消え去ってしまっていたかも知らないとか、そんなことはどうでもいい

そんなことを考えることが出来ない

いま、目の前に岩泉先輩がいて、私は岩泉先輩に抱きしめられていて…

大丈夫か、と岩泉先輩に私だけを見て私のことを心配してくれている

他の誰でもない、木村Aという人間を思い、わざわざ自分の腕の中に入れ、私を守ってくれた

「あ、あの、…ありがとうございます」

「いや、いい。
それよりお前が無事でよかった」

なぜこんなにも優しくいられるのだろうか

なぜこんなにも私をときめかせるのだろうか

岩泉先輩はさりげなく私と立ち位置を変えた

何も言わずに車道側へ行き、行くぞ、と、


私の




手をひいて歩いた

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作者名:ふふ | 作成日時:2018年6月22日 22時

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