声を出せない末っ子とプリン【Buster Bros!!!】【男主】 (ページ10)

今日:5 hit、昨日:4 hit、合計:33,415 hit

8 ページ10

｢Aさん、お久しぶりですね
どうぞ、腰掛けてください｣

扉を開いたその先には、本当に男の人か疑うくらい綺麗な人がそこにいて

いつまで経っても多分見慣れない

僕は先生の言葉にコクリと頷いて、鞄からスケッチブックを取り出して、先生の目の前の椅子に腰掛けた

｢１ヶ月ぶりですが何かお変わりないですか？｣

こくりと頷く

｢そうですか、そういえば今日はおひとりで来られたんですか？
一郎くんは？｣

スケッチブックにサラサラと書き足す

『今日はいち兄は用事で来られないの
一人で来た』

｢そうですか、あと2人のお兄さんは？来られなかったのですか？｣

『2人とも来たいってケンカしたから、一人で来た。

ケンカするくらいなら1人でも大丈夫』

スケッチブックに書く文字は喋るよりずっと遅いスピード

それでも先生は何も言わずに僕の話を聞いて、見てくれる

｢そうなんですね
よく来てくれましたね、私はひと月にたった1度ですが、Aくんと話すことを楽しみにしているんですよ｣

優しく笑う先生は嘘をついているようには見えなかった。

僕と話すことを本当に楽しみにしてくれているんだ。

｢それにしても以前話を聞いた通りに二郎くんと三郎くんは喧嘩ばかりのようですね
一緒にいて苦痛になることはないのですか？｣

『ないよ』

｢どうしてか聞いても？｣

少しだけ迷って

『じろ兄とさぶ兄がケンカすることはずっと前からそうだから
2人はケンカするほど仲がいいって言うやつだから』

｢そうですか。Aくんはお兄さんたちとは喧嘩しますか？｣

『ほとんどしないよ
たまーに、ケンカみたいなことするけど、僕は言いたいことほとんど言えないし、ケンカにならないから』

｢そうですね。｣

先生は少しだけ困った顔をした

そのあと優しく笑って

『Aくんは、二郎くんと、三郎くんよりは一郎くんに似ているのかもしれませんね』

結局山田Aは、山田三兄弟の弟なんだ。

僕はニッコリ笑って頷いた。