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「そういえばA、明日病院の日だろ?」

いち兄にそう言われて思い出した

こくりと頷いてカレンダーを見た

月に1度、シンジュクのかの有名な先生のところにお邪魔して診察を受けている。

診察内容は言うまでもなく声が出ないこと。


明日はその月に一回の日か…

ひと月ってはやいな…

この間行ったばかりなのに。


この僕の言い草からわかる通り病院は嫌いである。

そもそも、声が出ないわけじゃないんだ。

1部の人の前じゃ声は出る。

それに気づけるか気づけないかなんだから、病院で診察を受けることなんて無駄だろ

そう思うけどそれを伝えるのも面倒だし、それを伝えることで話せない理由を説明しなきゃいけないし

そうなったら本末転倒だ。

だから黙って診察を受けている。




「それでなんだけど…明日、1人で行けそうか?
俺、明日仕事で抜けられそうにないんだよ
送り迎え無理そうだ」


いち兄はそうすまなさそうに切り出した。


「え、そうなの?A大丈夫??」

「低脳じゃあるまいし、Aなら大丈夫だろ…
って言いたいところだけど大丈夫か?
僕でも良かったらついていけるけど」

「は?なんだよその言い方
ていうか俺だってついていけるぞ、三郎より俺の方が年上なんだ、俺の方が適任だろ」

「あーはいはい、わかったわかった。
年上アピールはもう耳にタコができるくらい聞いたよ。」

「だから!お前、兄ちゃんに向かってその言い方は!」

「おまえら!いい加減にしろ!2度目だぞ!」

「ごめん」

「ごめんなさい」


ほんとに、何回やったら飽きるんだよ…

僕はまた笑って

『(だ、い、じょ、う、ぶ)』


そう、伝えた。

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作者名:ふふ | 作成日時:2021年2月24日 22時

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