◇１話◇ ページ1
金曜日の夜、ビルの屋上から街を見下ろす。
今、私は、ここから飛び降りて、自 殺しようとしている。
別に嫌なことがあった訳じゃない。
辛いことがあった訳じゃない。
ただこの世界で生きることに、
ちょっと疲れてしまった。
ようやくこの世とおさらばできる…
『おつかれ……』
そう自分に告げ、転落防止柵から身を乗り出した。
頬に暖かい空気が触れる。
目を開けると知らない場所のベットの上に居た。
『私……なん……………は？』
辺りを見回すと、生活環境の整った部屋であることが確認できた。
自分の家ではない。知っている人の家でもない。
私は今、どこの、誰の部屋に居るんだろうか。確かにあの時、120m以上あるビルの上から飛び降りて、自分は死んだはずだった。それなのに、誰かの部屋にいる。ん？んんんんん？頭の整理が追いつかない。
扉を誰かがノックする音が聞こえた。
???「Aーー！いつまで寝とるん！今日集会やでー！はよ来ぃーやー！」
しゅ、集会？？てかまずここどこ？？？
部屋の壁沿いに置いてある白いふちの姿見。
前に立ち自分の姿を確認すると、それは自分の姿ではなかった。
夜空を切り取った様な紺色の髪に、吸い込まれてしまいそうな灰色の瞳。
自分では無い誰かの美しい姿に見とれて立ち尽くしていると、また誰かの声がした。
???「A着替えてはよ来ぃ！」
情報まとめていただいて？？
と、とりあえず姿見の隣にあるクローゼットを開けた。中にはセットになった軍服の様なものが何着か入っていた。
え、これ着るんか
着てみた。
ズボンはダボッとしているが足首の部分はキュッと締まっているため案外着痩せする。
なにこれかわいい()
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作者名：琉琉奈 | 作成日時：2022年12月31日 10時
