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File48。「ないふさとりーぬ」(ないふ) ページ48

ー❤︎ーIfSideー

教室を出て、何故か階段を駆け上がった。
二階から四階まで走って、すぐ息が切れて廊下でしゃがみ込んだ。
四階に生徒が残るような教室はないので、静かな廊下に自分の荒い息だけが響く。

「…っ、っ」

別れるつもりなんてなかった。普段から自分勝手に莉犬を振り回して、いつ嫌われるだろうかと不安になるばかりで、それでもなんとか、莉犬が俺のことを好きだと言ってくれるから、まだ大丈夫だと思って、言い聞かせて付き合っていた。
でもだめだった。莉犬が他の奴と喋ってるだけでイライラして、ついに手を出した。
震える莉犬の声、潤む莉犬の瞳。莉犬が、確実に俺に怯えていた。俺の手で、莉犬を傷つけた。
だから、別れた。ほんとは、嫌だって言ってくれると思っていた。嫌だ、別れたくない。そう言ってくれると思ってた。でも、最後まで莉犬は俺の我儘に付き合ってくれた。いつもそうだった。俺の我儘に、いつも笑って、呆れながらも文句も言わず付き合ってくれる莉犬。
自分から離したくせに、居なくなると悲しくて辛い。
なんて、やっぱり自分勝手で。
こんなところで蹲ってたって仕方がない。呼吸はまだ落ち着いてへんし、後から後から出てくる涙も止まらへんけど、帰らなと立ち上がる。

「わ、まろ?」

声がして顔を上げると、目の前にないこが立っていた。

「…何で、」
「え?あ俺?書類的なのまとめる仕事あってさ、ここ静かだから、そこでやってて」
「….あー、なるほど、」
「俺よりまろ、どうしたの。泣くとか珍しい」
「や、別に_」
「なんかあった?」

言わないと帰してくれない性格なのは知っているが、やっぱり口篭ってしまう。視線を窓の外に逸らすと、丁度莉犬が誰かと校門を出た所で、急いで顔を背ける。
それでないこは気づいたのか、「あー」と声を出した。

「何。喧嘩でもした?」
「…………………別れた」
「、はっ!?!?」
「別っ…え、マジで、!?」
「るっせぇな、何で今嘘つかんといかんの?」
「いや、そうだよね、うん、ごめん……」
「え、何があったの?」

遠慮という言葉を知らないのだろうか。
言うまで終わらないだろうし、相手がないこなので別にいいか、とようやく口を開いた。


「……うん。それで、別れた」

話し終えると、ないこは何故か腕時計を確認して、まだ1時間はあるか、と呟いた。

「まろ」

ん、と言って腕を広げたないこ。

「泣いていいよ、おいで」

ー❤︎ー

次が最後ですっ

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兎和 - わ……白黒最高すぎる…ありがてぇ… (4月17日 22時) (レス) id: 8407209a34 (このIDを非表示/違反報告)
うさうさ - 狐雪すぅ。さん» リクエストありがとうございます!!頑張ってみますଘ₍♡̷ᐢ⸝⸝•༝•⸝⸝ᐢ₎੭̸‧˚ (4月10日 15時) (レス) id: 18a1ea9563 (このIDを非表示/違反報告)
うさうさ - 兎和さん» まじすか!?!?名前似てたの申し訳ない……。コメントありがとうございます!! (4月10日 15時) (レス) id: 18a1ea9563 (このIDを非表示/違反報告)
狐雪すぅ。 - 面白い白黒ありがたいのだが病み系すきだしこういう書き方好き。リク:しょうちゃん病みもっかいお願いします… (4月7日 10時) (レス) @page39 id: b6852b2992 (このIDを非表示/違反報告)
兎和 - 初めましてー!作品名がリア友のあだ名と似てたから見にきました!白黒組ありがてぇ… (4月4日 15時) (レス) @page34 id: 8407209a34 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うさうさ | 作成日時:2023年7月9日 20時

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