File35。「いるらん」 ページ35
【らんらんSide】
案外、諦めてしまえば楽だった。
何も考えなくていい。何も感じなくていい。
体中を、何か分からないぐるぐるした黒いのが埋め尽くして、俺がいなくなったら、こんな人生終わらせて仕舞えばいい。
それなのに、あと少し、あと少しって、恐怖から逃げて。
疲れたんだ。全てが、どうでもよくなった。
ビルの屋上から街を見下ろした。相変わらず手は、足は震えているけど、そんなのもう何でもなかった。
世界を上から傍観している様な気分に浸る。
あと一歩で、全てが終わる、そんな時だった。
ギィッ、と嫌な音を鳴らして、屋上のドアが勢いよく開く。
ここまで走ってきたのか、上下に肩を揺らしているその人。
見覚えのある紫色の髪の彼。綺麗な彼の瞳が、僕の姿を捉えた。
「い、る…いる、ま…っ、？」
声も震える。どうして、いるまがこんなところに。誰にも言ってないのに。
いるまはずんずん俺の方に進んでくると、柵越しに俺の胸ぐらを掴んだ。
「は、ちょっ…！？」
ふわ、と体が宙に浮かぶ感覚がする。何が何だかわからないうちに、屋上の床に叩きつけられた。
「らんおま ……っふざけんなよ！！なに勝手に、いなくなろうとしてんだよ！！！」
いるまが声を張り上げる。こんなに怒ってるいるまを見たのは、いつぶりだろうか。初めてかもしれない。
でも、止めないで欲しかった。もう戻れなくなる。
こんな世界で、こんな俺が生き続ける意味なんて、どこにもないのに。
「何で、何で…来るのｯｯ！！もう嫌なんだよｯ！！」
ぼろ、と涙が溢れ出た。壊れたダムみたいに、次から次へと流れて、止まらなかったけど、もうそんなの気にならなかった。
「何で止めんだよ、何で助けになんか来るんだよ！！疲れたのｯｯ…もう、嫌だ……ｯｯ」
ごしごしと目を擦ると、ぐい、と手を引かれた。
至近距離でいるまと目が合う。
「じゃあ、何で、死のうとすんだよ」
いつもの何倍も低い声で、いるまが言う。
「何で、誰にも言わずに、ずっと1人で、我慢すんの？意味、わかんないんだけど」
「そりゃ疲れんだろ。全部1人で抱えて平気な奴なんていねぇんだよ、どこにも」
ーーーーーーーーー
苦手克服頑張ります。
続きます。
File36。「いるらん」�□�←File34。『悠佑くん』（白黒組）��
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7人がお気に入り
「すとぷり」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
兎和 - わ……白黒最高すぎる…ありがてぇ… (4月17日 22時) (
レス) id: 8407209a34 (このIDを非表示/違反報告)
うさうさ - 狐雪すぅ。さん» リクエストありがとうございます！！頑張ってみますଘ₍♡̷ᐢ⸝⸝•༝•⸝⸝ᐢ₎੭̸‧˚ (4月10日 15時) (レス) id: 18a1ea9563 (このIDを非表示/違反報告)
うさうさ - 兎和さん» まじすか！？！？名前似てたの申し訳ない……。コメントありがとうございます！！ (4月10日 15時) (レス) id: 18a1ea9563 (このIDを非表示/違反報告)
狐雪すぅ。 - 面白い白黒ありがたいのだが病み系すきだしこういう書き方好き。リク：しょうちゃん病みもっかいお願いします… (4月7日 10時) (レス) @page39 id: b6852b2992 (このIDを非表示/違反報告)
兎和 - 初めましてー!作品名がリア友のあだ名と似てたから見にきました!白黒組ありがてぇ… (4月4日 15時) (レス) @page34 id: 8407209a34 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うさうさ | 作成日時：2023年7月9日 20時
