笑顔と、花言葉～図書館戦争～ (ページ6)

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6.おしゃべりは程々にページ6

｢お前らの俺に対する評価はよくわかった。｣

背後からかかった低い声に郁が振り向く。

｢えっ、、な、なんでこんなところにっ、おられるんですか！！｣

そう、郁の背後には堂上教官。

私は教官がくるのに気づけたが、郁からしたら好き勝手言っていたその本人がいきなり現れるなんて心臓に悪い。

教官は私たちの後ろのテーブルにつきながら答えた。

｢今日はこっちの日替わりメニューのほうが美味そうだったんだ。なんだ、士官食堂に行かないとまずい理由でもあったのか。｣

｢笠原さん声大きすぎ｣

笑いをこらえて震えた声で言ったのは、
堂上教官の同期の小牧教官。別の班の教官をしていたはず。

堂上教官と並ぶと、背がより高く見えるなあ。

周りの女子がきゃあきゃあとうるさくなる。

なんで来たんだよ、という心がそのまま表れたように、郁が表情を歪めた。

｢チビで性格の悪いクソ教官か…。俺も人間だから、たまたま耳に入った罵詈雑言が指導に影響を及ぼさないかまでは保証できんが。｣

｢あたしはこの子と違って、教官の大ファンですから。｣

柴崎がなんのためらいもなく郁を切り捨てる。
女の友情なんてこんなものか。

｢ていうか、さっきから何も喋ってないけど。
芹沢さん、大丈夫？早食いすると体に悪いよ。｣

小牧教官が、柴崎の分まで食事をかき込んでいた私に声をかける。

堂上教官がきたおかげで口を閉じた私は、もう一度口を開くと食べることに専念していた。
午後も格闘技訓練があるから、ちゃんとエネルギーを補給しなければならない。

｢はい、大丈夫です、喋らないのはいつものことなんで。毎回体力使い切っちゃうんですよねー｣

若干覇気のない声で答えながらふと思う。

なんで小牧教官は私と郁の名前を知ってたのかな。

堂上教官は私の班の教官だけど、小牧教官は別。
直接喋ったことなんてなかった。

確か面接官の中にいたはずだし、他にも何度か顔を見かけた記憶があるが、それだけではこっちのことは覚えていないだろう。

関東図書隊の新入隊員だけで300人いるのだから。