くまさん(病)@3

@118(渋) ページ19

大倉が倒れて何をしたらいいのか、まだ何も知識がない俺と横はひたすら周りをうろちょろ歩き回る。

亮は、大倉が意識を失ってから、何もできない俺たちに気を使って横に医務室に運ぶよう指示をした。
もちろん、横も嬉しそうにお姫様抱っこして医務室に向かう。

「、、俺に出来ることあるか？」

亮に声をかけるとニコッと笑い、
「ええで、とりあえずみんなでスタッフに謝って帰る準備しましょ。その後、大倉の目が覚めたら、叱ったって下さい。馬鹿か〜ゆうて。」

少し悲しい顔で微笑む亮をみて、俺達は何てことしたんだろう、大倉だけじゃなくて、亮も安も、ヒナまで傷つけたんじゃないか。と自分を殴ってやりたくなった。

俺が悲しんだって仕方ない事は心から分かっている。「おぉ、すまんな、、」とだけ言って亮の肩を叩くと、亮は目をまん丸くして歯を食いしばったかと思えば、地面に膝をつき、静かに泣き出した。

「えっ、、！？亮ちゃん！！？どうしてん！！すばるくん！！？」

すぐに異変に気付いた丸が飛んできて亮の両肩を支える。

「ぅ、、ぐすっ、、、っ、おおくら、、が、頑張っててん、、ふ、めんば、たよるゆうって、、なのに、、」

顔を隠してて表情は分からないが、本当に悔しそうな声で、握った拳を震わせながら亮は泣いた。
ふと、周りを見渡すと、安もヒナも今にも泣き出しそうに歯をくいしばる。

そうか、俺は頑張って3人が築き上げたものを壊したんだ。
たしかにそうだ。大倉は弱音も吐かないし、楽屋でもずっと笑ってるけど、蓋を開ければ体調限界でした〜。なんて事も良くあって、メンバー誰も知らない話をマネや共演者から聞いたりする事もあるくらい、グループの空気感を大切に、大切に守っている。気付いてたんだ、末っ子のくせに周りを見過ぎる、空気を読みすぎる長男だってことも。

どれだけ大変だったんだろ、こじ開けんの。
どれだけかかるんだろ、これから築き上げんの。

色んな事を考えてるうちに、丸が亮を支えながら、全員でスタッフに謝って、そのまま楽屋に戻った。

誰が連絡してくれたのか分からないが、横がひょこっと楽屋に戻って身支度をする。
入ってきた時は、「大倉預けてきたで〜。」「大倉大丈夫なんか〜？」とか喋っていたが、メンバーのそっけない返事や、亮が顔を上げない様子をみて、楽屋の空気が最悪な事に気付き、静かに身支度を済ませた。

そしてメンバー全員で急いで医務室に向かうが、誰一人話する事はなく無言のままだった。

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