玉狛第零隊【天羽月彦】

第１３話 ページ14

部屋の中が険悪モードにも関わらずその空気を読めない人物が帰って来た。


「はーい。ただいま帰りましたよー。」


女性が部屋に一歩いれた瞬間杏はその人の顔面をおもいっきり蹴った。


「グヘッ！」

「猫センパイ！？」

「あ。あの人Aさんだ。」

「あの人……。」


修と遊真は心当たりがあるらしい。


「……痛い…。顔面も痛いし心も痛い……。」

「そうだねェ。隊長。私も心と胃が痛いよ。」


顔面を擦る琥珀。

それを上から見下ろす杏。

琥珀に怪我がないか慌てて点検をする林我。

またか、と頭を悩ませる鎮樹。


「あれ？零隊全員集合してるじゃん！猫センパイどうせなら今、自己紹介したらどうですか？」

「……宇佐美ちゃん。よくこの状況でそんな事言えるね。」

「誉めないで下さい。照れちゃいます！」

「誉めてない。」


「はぁ。」とため息をつきながら琥珀は立ち上がりずぼら等についた埃を払う。


「んじゃ自己紹介いきますか！」

「(立ち直り早ッ！)」

「流石猫センパイ！立ち直りも人一倍早いッス！」

「誉められてるのかどうか分からんけどありがとう林我よ！」


ガシリと謎の握手をかわす琥珀と林我。


「私の名前は神無月琥珀！いやーさっきぶりだね！白髪少年とメガネ君！」

「先程は助けて頂いてありがとうございました！」

「おねーさんだったんだね。俺、勘違いしてたよ。ごめんなさい。」

「いやいや。いいんだよ。こっちも調子乗って俺、とか言っちゃってたしね！」


案外話しやすい玉狛零隊隊長。

この中でも一番知り合いが多かったりする。

そして、黒歴史の量も人一倍多かったりする。


「次は俺ッス！俺の名前は葉月林我ッス！俺ははじめましてッスね！」


見た目は脳筋に見えるけど以外と手先が器用な林我。

そしてすこぶる杏と仲が悪い。


「おおー。なんかレイジさんと同じ匂いがするよ？」

「んー。俺よりもレイジさんだったら鎮センパイの方が似てると思うッスよ？同じオールラウンダーだし、師匠だし。」

「えっ。林我センパイレイジさんの師匠なの！？」

「いや、俺じゃなくて……」


「助けて下さいッス！」そう目線で林我は鎮樹に訴える。

鎮樹は「はぁ。」とため息をつきながらも自己紹介を始めた。

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