玉狛第零隊【天羽月彦】

第１２話 ページ13

【NOside】

鎮樹と琥珀が風間と話している同時刻____

黒髪の女性と宇佐美は玉狛支部でお茶を飲んでいた。


「はぁー。やっと終わったよー。隊長の持ってきた“始末書地獄”。」

「お疲れ様でーす！13年もかかっちゃいましたね！」

「4人で必死にやって13年って……。」


「はぁー。」とため息をつきながらも黒髪の女性はコーヒーを飲む。


「でも、また始末書地獄になるかもですよ？」

「なにそれ。初耳。」

「また、壊しちゃったらしいです。確か3割？」

「またー！？」


黒髪の女性は驚きのあまり右手に持っていたコップを落としてしまった。

幸い中はさっき飲み干したので入っていなかったが。


「………本当、うちの隊長一階殺そうかしら。」

「時々恐いこと言いますよね。杏センパイ。」


杏センパイ、と呼ばれた黒髪の女性は「仕方がないのよ。」と言う。

心なしか顔が暗い。

ドン！

扉が開くのと同時だった。

杏がさっき落としたコップを拾い扉の方へおもいっきり投げた。

ヒュン


「いでっ！」


見事におでこに杏の投げたコップがクリティカルヒットし、扉から赤髪の男性が姿を現した。


「痛いッスよ！！何するんスか！？」

「林我。扉はゆっくり優しく開けなさい、と何度言えば解るのかしら？貴方の頭はそこまで脳筋なのかしら。」


ニコリと黒い笑みで言う杏。

「ぐぬぬ」と唸る林我。

どうやら二人は仲が悪いらしい。

二人が睨みあっていると林我の後ろから声がした。


「あの……そこ退いてもらってもいいですか？」

「ん？あっすいませんッス！」


「いえいえ。こちらこそ。」そう言って入ってくるメガネをかけた少年と白髪の少年。そして、小柄な女の子。


「おっ！見ない顔の人がいるぞ。修、あれ誰だ？」

「……俺も知らない人だ。」

「私も知らない……。」


二人の声を聞いて振り返り手を振る宇佐美。


「お帰りー。修君、遊真君、千佳ちゃん！」

「玉狛第二ただいま帰りました！」


「それで宇佐美さん。あの人達は……。」と言い修は杏を見る。


「あなた達が玉狛期待の新人(ルーキー)ね。私は…」

「俺は…」


自己紹介をしようとしたとたん林我と杏の声が重なる。


「……ちょっと。声、重ねないでくれる？」

「俺、重ねたつもりないッスよ。早く自己紹介しない杏センパイがいけないんじゃないッスか？」

「なに｡私が悪いって言うの。」

「日本語が分からないなんて頭終わってるッスね。」


一気に部屋の中が険悪モードに変わる。

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