瑠璃色、揺れる【Satoshi.O】 (ページ7)

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「歌番組？Mスタ？」

「うん。本日のAのご予定は？」

「2限から大学行って、夜は同局でバラエティ」

私は、国民的アイドルになる前の彼から知っている。

彼だけじゃない、嵐のメンバーみんな、嵐になる前から知っている。

いつか言った、幼馴染的存在の人たちである。

「翔ちゃん、今日は2限だけ行くって言ってた」

「私も昨日LINEきてた。お昼ご飯食べてくる」

「ふーん。また撮られるよ」

ちなみに例の翔ちゃんも、嵐のメンバーだ。

翔ちゃんは1年間大学を休学したから、今は私と同じ4回生。

智は、私と翔ちゃんの間に絶対的な信頼関係があることをわかってくれていて、

それは翔ちゃんや私のファンの子達の間でも公認の仲で通用している。

「今の時代、記者より一般人の方が怖いね」

「間違いない」

ただ・・・智とのことは、ひたむきに隠していて

堂々と手を繋いで歩けたのは高校の3年間だけ。

その頃から、智は嵐、私は女優として活動していたけど

まだ今ほど事務所が厳しくなかったから、放課後にクレープを食べに行ったり、テーマパークに遊びに行ったりできた。

何度か撮られて、報道されて、

応援してくれるファンもいたけど、やっぱり反対するファンもいて

その一部のファンが、度を超えた行動をし始めた頃

お互いの事務所が、別れることを示唆するようになった。

「またネズミーランド行きたいな・・・」

「A」

目玉焼きを焼きながら、智が少し声を曇らせて名前を呼ぶ。

2人で呼び出され、お互いの社長を目の前に

別れるくらいなら私は引退する、と泣き叫んだあの日から

「死ぬまでには行けるよ、きっと」

私達は、表向き、破局した。