◆*46*◆ ページ46
後ろから回った手が、頰に添えられ、力づくで横を向かせる。
すぐそこには、智の唇があって
熱い吐息とともに、アルコールの匂いが流れ込む。
息ができなくて
これはキスのせいなのか、想いの重さからなのか、わからなかったけど、ただ苦しかった。
「さとし・・・、ここじゃやだ・・・」
「無理」
服の中に手が侵入する。
私の存在を確認するように、身体の淵をなぞられて、身体が震える。
「い・・・や、待って」
待って、と言って待ってくれた試しはないのに
必死に自我を守るための、感嘆符としての言葉が漏れる。
「手ぇどけろって」
智は相当酔っている。
全身が熱い。重なっている肌が、汗ばむ。
「玄関は嫌・・・」
「ハイハイ」
突然、身体が宙を浮いて、そのまま、智が私を持ち上げたまま、寝室に移動して、まるで物を扱うように荒く、ベッドの上に投げられる。
「よいしょ」
智が上に跨って、首筋に顔を埋める。
まずい、この流れだと次はマーキングだ。
「見えるとこにつけないで」
「さっきからダメダメうるせーのな」
ハア。とわざとらしいため息をつきながら、私のブラウスを捲し上げる。
「待って、」
「風呂入りたいって言うんだろ?でも俺は今どうしてもやりたい。だから選ばしちゃる。一回やって風呂入るか、風呂入りながらやるの、どっちがい?」
完全にスイッチが入った雄の目と衝突して、私はようやく観念した。
665人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:くろーばー | 作成日時:2019年6月10日 22時