携帯電話。 ページ25
すると二宮くんのポケットから携帯電話が鳴った。
私から少し離れて電話に出て、30秒くらいで話は終わって私の方へ戻ってきた。
「家どっち？」
「...あ‼...ごめん通り過ぎてる。」
全然どこを歩いたか覚えてなくて自分でも周りを見て驚いた。
「ったく...お前は。よくわかんねー奴だな。」
そう言ってまた通った道を歩き出した。
私も自然と隣を歩くことができた。
「ってかお前ホントよくわかんねー。結局オレは何しに来たんだ？あの待ち時間は一体なんだったんだ？」
そう言ってまた頭を掻いた。
「...ふふ。何だったんでしょーね？」
そう言って誤魔化した。
「何が何だったんでしょーね？だよ。オレがこの1週間どんだけモヤモヤしたと思ってんだよ！」
そう言って私のカバンをグーパンチした。
1週間もの間、私のこと考えてる時間があっただなんて。
数時間前まで泣いてた私に教えてあげたい。
この後、こんな幸せ待ってますよー！って。
まだドキドキはするけど。
あのドキドキとはまた違う。
嬉しいよー！ってゆうドキドキ。
「あ...ってゆうか送ってくれようとしてる？」
今更冷静になって気付いた。
「別に。こっちに用事あんの。相葉くんが、ここの近くに住んでるから。たまたま。」
「...相葉くん？家、千葉でしょ？」
前に電車、逆方向だったし。
こっちな訳...
「...るっせーな。女は黙って送られてろ！」
そう言って腕で顔を隠した。
私の家の近くまで着くともう空は紺色になっていて、街灯が灯り出していた。
「あ、この辺で大丈夫。ありがとう。」
次の曲がり角を曲がれば私の家で。なんか恥ずかしくてそこまでは行けなかった。
「ん...分かった。」
静まり返った住宅街にまた携帯電話が鳴った。
「ごめん、ちょっと待ってて。」
後ろを振り返り小さな声で電話に出た。するとすぐ私に振り返り「ここ何丁目？」と聞かれて「5丁目。」と返事をした。
「5丁目だって。うん。...はい。分かりました。」
何でここの住所...？本当に相葉くんと待ち合わせしてんのかな？
「んじゃ。...本当に何でもなかったんだよな？」
電話が終わって私に振り返った。
「...ん。大丈夫。」
「次変な態度取ったら許さねーからな？」
「...はい、気をつけます。」
すると二宮くんの後ろにデカイ車のヘッドライトが見えた。
「んじゃな。」と言って私に背を向けて、ヘッドライトの方へ歩いていった。
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作者名：akiru | 作成日時：2017年6月8日 1時
