困り顔。 ページ24
私は何が何だか分からずだいぶ離れて二宮くんの後ろを歩き出した。
これはどうゆう状況？二宮くんが私を待ってたって...何？
すると二宮くんが足を止めたから私も止めた。
二宮くんは振り返りすごい勢いでこっちに歩いてきた。
「あのさ！なんでそんな遠く歩くわけ⁈話すに話せないんだけど。」
そう言われたとき、また私の手首が強引に捕らえられて、そのまま引っ張られながら二宮くん家とは逆方向の私の家方向へ歩き出した。
無言でそのまま引っ張られていく。
一体何が起こるの？
私がやっぱりおかしな態度とったから...？
だから怒ってるんだよね？
「で...話しってのはな。」
川沿いを10分くらい歩いたところで二宮くんが話し出した。
「...は..はい。」
「そのな！お前のな！」
「...は..はい。」
「態度が気にくわねーんだよ。」
「...え？」
「だから！お前最近変だろ？今だって、はいはい敬語使いやがって。俺、お前に何かしたか？何か文句あるなら聞いてやるっつってんだよ。」
そう言って立ち止まって私の手首を振り払った。
もう夕日は完全に沈み、空は薄い紫色に変わっていた。
私はその薄暗い空のおかげで二宮くんの足元からゆっくり顔を上げて、胸を...口を...目を...見た。
「....」
何も言えずにただ二宮くんの目を見続けた。
私...バカだ。本物のバカだ。
二宮くんは何も変わってないのに。
私が勝手に意識して困らせて。
二宮くんの困った顔を久しぶりに見たら何を悩んでいんだろうと、バカらしくなった。
「ねぇ？オレの話聞いてる？」
「あ？え？うん。」
「いや、返事になってないんだけど。だから、オレに文句あるだろ？」
そう言って私に一歩近づいた。
「...ない。」
「はぁ？！あるだろ？ほら、怒らないから言ってみろ。な？」
「怒らないって...もう怒ってるじゃん。」
「怒ってねーよ。生まれつきこうゆう喋り方なんだよ。」
私はなんだか笑えて、吹き出してしまった。
「何がおもしれーんだよ。オレは全然面白くないんだけど！」
二宮くんは怒りながら髪の毛をクシャクシャして、私に背を向けた。
その後ろ姿は、いつもの寝癖と猫背があった。
胸がキューとなって全身にピンク色の血が通った気がした。
いつも冷静な二宮くんが困ってるなんて、なんだか可愛く見えて。
この恋...止まらない。
そう確信したのは紛れもなくこの瞬間だった。
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作者名：akiru | 作成日時：2017年6月8日 1時
