チョコバナナには手が届かない (ページ10)

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「あぁ！」

突然大きい声が聞こえて、誰かと思えば千冬さんだった

「今日、猫の日ですよね？にゃんにゃんにゃんの日！」

ちょっとまって今なんで繰り返したの？っていうか２回目のにゃんにゃんにゃんの日って可愛すぎない？この店長

「千冬気づいてなかったの？」

「覚えてるに決まってるでしょ！？忘れてたふりでしょうが察してください！！」

一虎さんがなぜか逆ギレされている

「ってことで、けーくん、Aちゃん、お祝いですよ！ケーキ！」

ケーキという単語に反応し場地と私は一目散に駆け寄る

私が走ると一虎さんがくれた鈴付き首輪の鈴が鳴る

「うんうん、やっぱこの首輪いーね！」

「…オレも…けーくんに何かあげよっかな…」

「なんか言った？」

「いえ、なんでも。ほら見てください！猫ちゃん用のケーキです！用意したんですよ？」

じゃじゃーんと効果音を自分で出して、千冬さんが目の前にケーキを差し出す

人間のケーキとはのってるものが違うし、あまりケーキと言えるものではないけど、それは立派な"ケーキ"だった

『にゃあっ』

「にゃ」

場地と二人でありがとうを伝える

伝えたら、どちらが先に食べるか競うようにケーキに食いつく

〈てめぇオレの方が先輩だろうが！譲れ！！〉

《やだ！私だって食べたいもん！！》

相手の顔を押しやり合いながらもケーキから顔は離さない

見事なまでの執着である

「美味しいみたいでよかった〜」

「じゃれあいながらケーキ食べてる二人天使…」

もはや千冬さんは通常運転だ

「あ、A口にケーキのホイップついてる」

すっと一虎さんの細いキレイな指が伸びてきて、「ほら」とホイップを見せてくる

まってよ完全に彼女とかにやるやつじゃん

イケメンってほんとわからない…

〈なんかAと一虎が絵になってたの意味わかんねぇ〉

《場地が言ってることのほうがわかんねぇ》←

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猫の日間に合った…