【ポケスペ】SHINY (ページ36)

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『…これは酷いわね』

エンジュシティ手前の道路でヴェルから降り、彼をボールに閉まって、足で街の中まで行く。がらり、と崩れた足場に気をつけながら、エンジュシティ全体を見回した。

(…兎に角地盤の崩れが酷い。震源は近そうだし、恐らく直下型。)

とりあえず足を進める。この状況では、救護の車が来るのもしばらくは見込めないだろう。

何時もは高くにその頂上を輝かせる二つの塔も、今や斜めに倒れ、土台も崩れて沈みかけている。

(さて、まずは状況を整理しましょうか)

突然起こった震災。そもそもここ、エンジュシティは、ジョウト地方の中でも比較的地盤が安定した穏やかな街で、これまでに大きな災害が起こったことはあまりない。

『…あと、スズの塔の地盤沈下の速度が早いわね。普通地盤沈下というものは震源からじわじわと広がっていくもの。そして一番建物が沈む速度が早いのが、あのスズの塔…』

あまりにも、できすぎていないかしら？

『ねえ。これ、人災でしょう？犯人さん。』

人の気配がする背後、森の方を、振り返ることなくそう告げる。
少し時間を置いてから、ざっ、という足音が聞こえて、森の中から人影が現れた。

「…いつから分かっていた？」

『初めから。理屈は今の通りよ』

(…多いな。)

ざっと見積もっても30はいる。

森の中から出てきたのは、上司であろう男女二人。多分部下…下っ端達はまだ森の中。でも気配が隠しきれていない。ポケモンの気配も多い。ううん、かなり大掛かりな作戦。

(ま、目標がホウオウともなれば当然ではある…か)

「この場において、我らの姿を見られたからには…」

「フッフッ、そうね、タダで返す訳には行かないわね。」

--総員、戦闘態勢！

掛け声と同時に、ばっ、とポケモン達が私に襲いかかってくる。
とりあえず上に飛んでその場を逃れる。どうするか一瞬悩んだ時、素早く私の首に電気を帯びた何かがあてがわれた。

『…』

「他愛ないな。戦う気がないのか？」

『さあ。どうかしらね』

やれやれとため息をついて両腕を上げる。
首にあったのは帯電しているエレキッドの腕だった。

『スズの塔を落としたのは、ホウオウの帰巣本能を燻る為…違う？』

「ホウ、そこまで知っているとは…」

やっぱりか。
思わずぴくり、と眉が動く。

「お前はボスから連れてこいと命令があるからな。大人しくしていれば傷つけはしない」