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『…大丈夫です。私は怪しい者ではありませんから。』
そう言い、自身が持つ図鑑を見せる。
「それは、オーキド博士のポケモン図鑑…わかった。ちょっと待っててね。資料を取ってくるから」
通信画面から人が消える。
ウツギ博士は詳しく、自分の知っていること、調べたことを教えてくれた。
なんだか若干脅してしまったこちらが申し訳なくなってくるぐらい。
(…色違いの伝説を従える。彼らとの接触方法を知るのは彼女だけ。--それまでは、伝わっているだろうと予想してはいたけど)
--まさか、"時間"のこと、それから、"眼"の事まで記されているとは。
やっぱり、ここではっきりさせておいて良かった。私のことはほぼ伝承に記されている。隠し事をしても無駄。
(あまり、眼のことは知られたくなかったんだけどなぁ。)
『ありがとうございます、博士。助かりました。』
「いやいや、オーキド博士が信頼した君の役に立つなんて、光栄だよ--ん？」
突然、こちらの方、ポケモンセンターに備え付けられたテレビから、慌ただしい人の声が聞こえた。少し遅れて、通信画面の向こうからと同様の声がする。
「臨時ニュース、臨時ニュース。エンジュシティで震災発生！原因不明の大規模な地盤沈下が発生した模様。」
『--エンジュで震災…地盤沈下！？』
思わず大声を上げて立ち上がる。エンジュシティにはスズの塔とやけた塔がある--もし、スズの塔が、被害を受けていたら。
(塔の主、ホウオウが…怒って地上に降りてくる！)
「大変なことが起きたみたいだ…」
『ッ、私、今すぐエンジュに行きます！』
「えっ！？でも、震災の影響できっと中には…」
『本当にありがとうございました、博士！』
通信画面の向こうから聞こえる制止の声は無視。兎にも角にも状況を確かめるのが最優先だ。
(もしかしたら、人災かもしれないし--あっ。)
ポケモンセンターから出ようとしていた体を回転させて、未だ繋がっているパソコン画面に顔を向けた。間抜けな顔をしたウツギ博士が映っている。
その画面に向けて、ぱちん、と、普段はあまりしないウインクをしてみせた。
『…私の名前、"ペリドット"っていいます。』
「………え？」
『気軽に、"イブ"って、呼んでくださいね！じゃ！』
言い捨てて通信を落とした。
センターから出て、ヴェルを出す。ポケモンセンターで回復させた彼のコンディションは完璧。
『行くよ、ヴェル！エンジュシティに！』
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作者名：神菜 | 作成日時：2018年11月24日 14時
