【ポケスペ】SHINY (ページ31)

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:29,360 hit

24. ページ31

***

断った私に、ディレクターだという人はラジオは持っているのかい？と尋ねたけど、持っていなかったので素直に首を横に降ったら、肩に掛けられるポケットラジオをくれた。

そして今日。

『…どういうこと…』

折角だし静かな場所で聞こうと思い、ヴェルと一緒にあるビルの屋上に座り込んで早めにラジオをつけると、そこから聞こえてきたのは喧嘩の声だった。

しかも明らかにゴールドの声だ。相手はよく分からないけど…女の人の声。

大方ゴールドが何かのはずみに喧嘩をふっかけたんだろうけど、なんというか…

(…あのレッドさえ、ここまで血の気は多くなかったのに)

はあ、と頭を抱える。

ゴールドと会ってから思い出したのだけど、ジョウトに来て博士に会い、図鑑をアップデートしてもらったときに、この地方にも図鑑を手にして旅に出た者が居ると聞いた。

今のところは二人。そのうちの一人が、彼だった。

(…でも一応、博士は認めたんだよね。彼のこと。)

戦っていた時のポケモンへの気遣いとか、信頼関係とかを見ていると、確かに悪い人では無いのだろうけど、こうも口が悪いと少し疑ってしまう。

『…？どうしたの、ヴェル』

下を眺めていたヴェルが、ぐい、と私の服を引っ張った。視線を下へと投げているから、下を見てみろ、ということなのだと思う。

ヴェルに乗り、少し下まで降りると、二つの影がくっきりと見えてきた。

(あれは…ゴールド？)

まず、ゴールドの自慢であるビリヤードのキューが見えた。スケボーのようなものに乗っている。

そして隣には自転車に乗った女の人。

どうしたのだろうか、と見ていたら、暫くCMが流れていたラジオから、MCの声がした。

「えー、コガネラジオをお聞きの皆様！本日は緊急特別番組『新人トレーナーゴールドくんvsジムリーダーアカネちゃん』をお送りします！」

何かを告げる、花火が上がる。

(…何をどうしたらそんなことになるのよ…)

思わず深い溜息がこぼれた。

***