【歌い手】きみと100このあまいもの。【短編集】

▼ここあしがれっと/めいちゃん ページ7

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「おらみろ！A！！煙草！！」
「はいはい」
「おーいー！かーまーえーよー！！！」

ふざける俺をサラッと無視するこいつは、大学の同輩。


「うるさい...今レポート仕上げてるから待って。あんたと違って真面目にやってんの。」


口悪くて食えない奴だけど、悪い事ないのは知ってる。
其れはもう、彼女の心に触れた時から分かってた。

優しくて、繊細で尚且つ柔らかい
そんな彼女の事を好きになるまでそんなに時間は要らなかった


直ぐ恋に落ちて、仲良くなって告白して
振られて。
なんか其れで諦めるのは癪だから、何だかんだ１年くらいこの微妙な関係を保ちながら生活していた。

... 友達と言えるのかすらわからない
ただ一方的に俺がつき纏っていると言われればそうなのかも知れない


「ねえ、めいちゃんココアシガレット頂戴。」
「うん？いいよ？」


こっちを見向きもしない彼女にココアシガレットを一本渡す。

今日久しぶりにコンビニで見かけたこのお菓子はどうも懐かしくて、
子供の時とか思い出してちょっと涙出そうになって。


あーもー、早く前見て歩けって話。
大学ももう直ぐ卒業なのに全く実感は沸かないし、悲しさとか焦りもない。

何となく卒論書いて、出してみたいな。

このまま歌で食っていける訳ないから早く就職先も決めなければならない。


「ふぁ、」と欠伸して机に突っ伏した。
邪魔そうにしてる彼女の顔は見えないフリ。


...きっとこのまま行ったら彼女と俺の関係は平行のまま。
そんなの勿論嫌だし、告白するけど

って言い続けて２年経った訳ですが。


そろそろ本当に告白______、


「めいちゃんもういっぽん〜。」

口開けながらアホ面かましてレポート書く呑気な彼女に若干嫉妬して
” 意識してるのは俺だけか ” って。



だから、

「こっちむいてー」
「ん？」

こっち向かせて、ココアシガレットをAの口に突っ込む。
嫌だったら突き離してって意地悪つきで


短いココアシガレットの片方を齧って行って、
思いが通じ合ってた２人の唇が重なるのは、あとほんの3秒くらい後の話





「ずっとずっと、すきなんだぞ？」

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