▼あいしんぐくっきー/まふまふ ページ3
.
きらきら、ふわふわ。
宝石みたいに輝くアイシングシュガー
口に含むと、優しく解けるクッキー
僕は、彼女が作るアイシングクッキーが大好きだ。
手先が器用で、昔から僕に色々作ってくれる彼女。
Aのお菓子は、幼馴染みの僕の特権だった。
初めてバレンタインデーに貰ったアイシングクッキーは確かに不恰好な物だったけど、
2人で笑いながら食べた
美味しかったし、今ではいい思い出。
「ねえ、A。もうアイシングクッキーは作ってくれないの?」
僕が笑いかけながらそう問いかけた。
彼女は、伏せていた顔を上げて、驚いたように頬を引き攣らせている。
その瞬間、僕は ” あぁ、笑えてないんだな ” って察した。
わかった瞬間に、視界がじわりと歪んで、呼吸が苦しくなった。
「アイシングクッキー、か。」
「うん、だめかな。」
「そうだな、そらるさんに、受け取ってもらえなかったからなぁ。」
嗚呼、泣きたいのは僕じゃない。
君だよ。
君が泣くのを堪えてるのに、僕はみっともなく涙を落としている。
「ごめんね、まふ。もう私、お菓子作りたくないや。」
「そ、そか。あは、は...ッ。僕もう帰るね!!」
「あ、うん、」
僕が外に飛び出して暫くした頃。
扉の中からは微かに嗚咽が聞こえてきたのを、外に座り込んでいた僕は知っている。
もう一生、あの味を。あのキラキラしたお菓子を、食べれないのか。
どれもこれも、振った彼の所為なんだ。
そんなこと、言っても彼女が喜ばないのは知っていた。
し、僕が失恋した一方的な八つ当たりだってことも気がついていた。
もう、なんで僕はここまで弱いんだろうか。
彼女を慰めるでもない、2人のフォローに入るでもない。
ただ傷付いて、ただ無力に涙を溢すだけ。
僕の手の中には、彼に貰われ損ねた彼女の
最後のアイシングクッキーが握られている。
透明なラッピング袋から出して、ピンク色のを齧った。
「あぁ、甘い。」
彼女が彼を想って作ったお菓子は、とてもとても、甘かった。
113人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さくらんぼ(プロフ) - もちもちのりさん» もちもちのりさんありがとうございます…!そう言って頂けるととても励みになります。ちなみにですがそうさんのお話はみおんが書いております…!!(*_*; (2017年8月17日 2時) (レス) id: 4a1cd54273 (このIDを非表示/違反報告)
もちもちのり - 先ほどのコメント美音さんの名前無かったですね…すみません(土下座)正確にはるなみおんさんお二人の書く小説が大好きです!!更新楽しみに待ってます! (2017年8月16日 1時) (レス) id: 789b505757 (このIDを非表示/違反報告)
もちもちのり - Souくんの読んで、別に病んでる訳じゃないけどこういう死に方ありだなって思ってしまいました(笑)るななんさんの書く小説は私の大好きな歌い手さんばかりで、内容もとっても素敵で嬉しいです!!更新頑張ってください! (2017年8月16日 1時) (レス) id: 789b505757 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - なさん» コメントありがとうございますーー!!!!ゆきみさん喜んでくれる方たくさんいらっしゃってすごーーく嬉しいです……!更新がんばりますね◎ (2017年5月27日 18時) (レス) id: 10e76afddf (このIDを非表示/違反報告)
な - ああああああああああああ雪見ちゃん(;;)雪見ちゃんの小説少ないから雪見ちゃん出てきた瞬間めっちゃ嬉しかったです!!更新頑張ってくださいね! (2017年1月12日 22時) (レス) id: 46845be33d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ