Episode6 ページ7
私たちを乗せた絨毯はどんどん空高く上がっていく
どうしてもそれが怖くてさっきから目を瞑りっぱなしだ
｢…。寮長、降ろしてください｣
ｶﾘﾑ｢え、今は無理だぞ｣
私の言葉に彼はそう答えた
怖すぎて何も考えられない
私は彼に抱きつく力を強めた
しばらくすると風が弱まり、揺れもおさまったような気がする
ｶﾘﾑ｢A、目を開けてみてくれ｣
私は恐る恐る目を開けた
｢……綺麗｣
私たちのまわりは雲ひとつない星空
星が輝いてまるでダイヤモンドのようだった
ｶﾘﾑ｢気に入ったか？｣
｢はい、とても…｣
私が答えると彼は｢それなら良かった！｣と言って嬉しそうに微笑んだ
私も彼に向かって少し微笑んでみる
すると彼は私が抱きついたときのように頬を赤らめて顔を逸らした
｢寮長は素敵な場所をご存知なんですね｣
ｶﾘﾑ｢まあな！いつもは一人で来るんだけど、せっかくだし、な？｣
気を使って私を誘ってくれたんだ
この人はどこまで優しいんだろうか
ｶﾘﾑ｢あと、お腹空いてないか？｣
｢少し空いてます｣
そう言うと彼は絨毯の上に乗せてあった鞄を探って、様々な食べ物を出し始めた
カレーパンにクラッカー、チーズとかその他いろいろ
一人では食べられない量だ
ｶﾘﾑ｢好きなの食べていいぞ！｣
私は近くに置かれたカレーパンを手に取り、
景色を見ながらそれを食べた
｢美味しい｣
ｶﾘﾑ｢そうだろ！ジャミルが作ったものだから美味しくて当たり前だけどな！｣
カリムを褒めたわけではないのに彼は自分の事のように喜んだ
ｶﾘﾑ｢ジャミルの飯は美味しいし、安心して食べられる！毒なんて絶対入ってないしな！｣
毒、という言葉にドキッとした
この人、今まで何度も殺されそうになったことがあるんだ
私は我に返った。
そうだった…私も彼を殺す側の人間なんだった
そのことを少しの間忘れていた気がする
私は横目で彼の様子を伺った
自分が殺されそうになった話も笑顔で話す彼を見ているとなんとも言えない気分になった。
今私が彼をここから突き落とせば…
そんなことが頭に浮かんだ
私は気付かれないように彼の方に手を伸ばす
ｶﾘﾑ｢…？どうしたんだ？｣
それに気づいた彼は私を不思議そうに見た
｢…肩にゴミ付いてますよ｣
どうしても彼を突き落とすことはできなくて、私は嘘をついて誤魔化した。
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広告 - めちゃくちゃ良かったです！ (2020年10月21日 19時) (
レス) id: 21de1d3817 (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - 陷さん» コメントありがとうございます！楽しんで読んでいただけたようでよかったです！ (2020年6月29日 22時) (レス) id: 6feeb0dd0f (このIDを非表示/違反報告)
陷(プロフ) - さいっっこうでした！ハピエン厨なので作者様がハッピーエンドを書いてくださり本当に嬉しかったし、とても素晴らしい小説でした！ありがとうございます！ (2020年6月29日 21時) (レス) id: cd18a981b6 (このIDを非表示/違反報告)
海賊船の雑用 - はい！ずっと見てます！←ストーカー (2020年5月27日 20時) (レス) id: 3287b8cc09 (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - 海賊船の雑用さん» ありがとうございます！楽しんで読んでいただけてるようでなによりです！これからも頑張ります！ (2020年5月27日 20時) (レス) id: 6feeb0dd0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美月 | 作成日時：2020年5月26日 17時
