リアル人狼ゲーム【カラ松】 (ページ49)

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番外編（生霊）ページ49

「前世なんてある訳ないよな」

そう言ったおそ松兄さんは、カツサンドに大きな口を開けてかぶりつく

…突然、どうしたんだろう？

突拍子もないことを言い出すのはいつも通りだけど、こんな非現実的なことを言うのはあまり聞いたことがない
おそ松兄さんはこれでもかなり現実主義な思考の持ち主だから

「僕は、あるってんなら思い出してみたいけどね」

僕の前世…どうやって死んだのかな？何歳で死んだのかな？

いろんなことが知りたくて、それでもわからないから人は前世なんてモノを信じない
でもロマンチックだよね、前世で会った人ともう一度会ってたら

僕らなんかも、兄弟だったりして

「ま、ありえないよね～。っていうか僕兄さん達と前世でも兄弟とか不名誉すぎるし」
「お前言うようになったな…」
「まさにドライモンスターだな」
「じゃあチョロ松兄さんとカラ松兄さんは前世とか信じるの？」

僕は…と言って黙り込んだチョロ松兄さんはチラリと十四松兄さんを見る
十四松兄さんはにっこり笑って、僕は信じるよ！と言った

俺はあったら良いと思うぞ、と言ったカラ松兄さんは台本を読みながら白飯をかき込む

「えー、じゃあ一松兄さんは？」
「…信じてない、けど…」
「“けど”？」

歯切れの悪い一松兄さんの顔を覗き込むと、穏やかな顔をしていゆっくりと猫を撫でる

「いるじゃん。Aって人…そいつは、信じてるって笑ってた」

A…って、あのAちゃん！？
一松兄さんってばいつからそんな他愛のない会話をする仲に…

お前ふざけんなよ！と兄さん達から断罪を喰らっている一松兄さん

そんな光景を見ていると、不思議な気分になった
僕は一度、と言うか以前───────僕が生まれる前にこの光景を何度も見ている

夢なんかじゃない。絶対に、現実でこれを見ているんだ

その傍らで笑っている可愛い女の子たち
一人はトト子ちゃんで…もう一人は…？

「…誰だったかな」

そのこの顔こそ思い出せないけど、僕の視線でわかる
僕はその子が好きだった

殺されても良いと思うほどに

あぁ、これが前世の記憶だったら良いのに

そして、その女の子がもしAちゃんだったら…

僕は二度目の初恋を捧げたことになる

だったらどれほど、ロマンチックだったか

「ま。前世なんてありえないよねー」

前世を覚えてるなんて人、会ったことないんだもん

そう言うと、おそ松兄さんとチョロ松兄さん、十四松兄さんは怪訝な顔で僕を見つめ、そうだよな、と無理に笑った