リアル人狼ゲーム【カラ松】 (ページ48)

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番外編（霊能者）ページ48

前世を覚えてるってさ、聞こえ方によっちゃロマンチックに聞こえるかもしれない
まぁ、ロマンチックかもね。前世で恋とか愛とかが叶ってるヤツは

…ま、結論から言うに、俺は前世の記憶がある

前世でも俺たちは6人で1人…六つ子だった

ある日目が覚めるとそこは廃校で、俺を含む6人は全員そこに集められていて
そして、同じく閉じ込められたある女の子と出会う

それがAだ

そこで“人狼ゲーム”をやらされて、俺は“霊能者”になって

霊能者って、誰が人狼で、人数は何人いるのか知ることができるんだよね
そして俺は、一晩ずつ、ゆっくりと霊視していった

コイツは人狼じゃない…コイツも人狼じゃない……なんて、最初は順調にやって行けた

でもおかしかったんだ

その中に人狼なんて一人もいなかった(・・・・・)

内心ホッとしたよ
こんな綺麗な顔して笑ってさ、実は人狼でみんなを一人ずつ殺していました～、なんて、笑えないし

でもそんな答え非現実的だ
1人はいるんだ、必ず、あの中に

そして、俺が死ぬ前夜……人狼が俺の部屋へ来た

それがあの女───────A

あぁ…お前、全部知ってたんだろ
そう言うと彼女はうっすらと笑った

カラ松が騎士だから、守ってもらおうと取り入ったのか、と怒鳴ると、一瞬驚いた顔をした後、騎士だったのね、と言うその顔は、苦しそうで悲しそうな、でも嬉しそうな顔をしていた

そして俺は、彼女に刺された

弟達もさ、こーやって殺したのかよ
とか、聞ける間も無く彼女は部屋を出ていった

お前には前世の記憶なんてないかもしれない
だからこれは、俺が勝手にAを恨んでいるだけの話
Aにとっては、初めて会ったやつに突然敵意を向けられて訳がわからない状況にあるだろう

なのに……

Aは時たま、すごく申し訳なさそうに、悲しげな笑みを浮かべる

まるで、俺が質問した時のような

お前、前世の記憶がないんだろ？
そう言ってくれよ、頼むからさ

じゃないと俺、許してやれそうにねぇし。心狭いからさ
殺したのに今世では仲良くしましょうなんて、都合良すぎるだろ？

恨んでる、確実に

なのにお前がそんな顔するから、どうしようもなく胸の奥が締め付けられて
笑っているはずなのに泣いて見えるAの笑顔

泣くなよ、なんて、恨んでるはずなのに慰めの言葉すら浮かぶ

わけわかんねぇよ

弟達と笑い合うAを見て、チッ…と舌打ちが漏れる
きっとこの苛立ちは、Aに向けたものなんかじゃなくて

好きになってしまった、俺への苛立ち

「おそ松」と笑う顔が、皮肉にも綺麗に見えた