二十匹目 ページ22
「泣いてた…って……はは、何言ってるの?冗談キツいよ、トド松」
「チョロ松兄さん…!ホントだよ…!泣いてたんだよ!僕の目の前で…!」
泣いていた
私が
何を理由に?
それはまだわからないけど、嬉し泣きじゃないことは話でわかる
何が悲しくて泣いてたの?
「Aに心当たりはないのか?」
今までずっと黙っていたカラ松くんは、私を見つめてそう言った
私の心当たり……
「一応……あることにはあるんですが…」
「!どんな記憶?」
「…苦しい、悲しい、痛い、死にたい……そう思っていたことは覚えてるんですが、私が何故そんなことを考えていたのか、全然わからないんです」
そこわかんないと、全部わかんないよね〜、と言ったチョロ松くんは椅子の背もたれにもたれかかる
私が不甲斐ないばかりに…申し訳ない
すみません、と言えば、記憶覚えてないのは別にあんただけじゃないし、と一松くんが呟いた
私のことを励ましてくれているんだろうか?だったら一松くんも悪い人じゃないらしい
「まぁ記憶のことはみんなで思い出していくことにしようか。きっと、思い出さないことにはここから出られないだろうし」
「新手の脱出ゲームみたいだよね」
「ただの脱出ゲームだったら良いんだけどね…」
みんな、ここから出られればおそ松くんや十四松くんが生き返るって信じてる
だから私も、そう信じる
先の未来はわからない
それでも、もし先が私たちにとってのバッドエンドに進むとしても
わからない未来を、自分たちで『ダメだ』と決めつけるのは、そこで『全て諦めた』と言っているのと同じこと
だったら、私たちは自分の欲しい未来を、願いを求める
「……そうだ、A。俺の名前を呼んでくれないか?」
「え?か、カラ松くん…どうしてですか?」
急にそんなことを言うカラ松くんに、その場にいる全員が固まった
かろうじて声を出した私は、カラ松くんに意図を聞く
「前、呼ばれた時に……懐かしい感じがする、と言っただろ?」
「…あぁ、そう言えば言ってたねえ……新手のナンパかと思ったよ」
「だから、もう一度呼んでほしくて」
そう言ってまっすぐに私を見るカラ松くん
その目に吸い込まれそうで、私は目を逸らした
「……か、カラ松…」
言った瞬間に顔が熱くなる
あぁ、ダメだ、慣れないことはするもんじゃない
少ししても反応のないカラ松くんを不審に思って顔を上げる
すると、カラ松くんまで顔が真っ赤になっていた
「さ、サンクスだぜ☆」
「…い、いいえ、こちらこそ…」
「リア充は直ちに爆ぜろよ」
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松々先輩(プロフ) - れおさん» ありがとうございます〜!!そう言っていただけて嬉しいです!まだ番外編は残っておりますので、最後まで頑張ります!! (2020年12月26日 14時) (レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)
れお(プロフ) - はあああ!最後まで素敵!大好きです… (2020年12月25日 22時) (レス) id: 0afdf78ade (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - ふゆっこさん» 気づいてくださって嬉しいです…!少し歌詞を混ぜました! (2019年7月30日 22時) (レス) id: 3db3ef1937 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆっこ(プロフ) - 妄想感傷代償連盟・・・ (2019年7月30日 22時) (レス) id: 354b18a198 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - ももまつ(カラ松girl)さん» いえいえ!気にしないでください…! (2019年5月19日 19時) (レス) id: 3db3ef1937 (このIDを非表示/違反報告)
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