リアル人狼ゲーム【カラ松】 (ページ20)

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十九匹目ページ20

頭がいいとなると、人狼ゲームは有利になる
そして、人狼ゲームの中で最も頭を使う役職は、何を隠そう人狼かナイト

一松さんも頭が良い

どちらかが、人狼……───────……？

ダメだダメだ

疑心暗鬼になっちゃダメ
人は疑わないようにって、言われたじゃない

───────誰に？

そう言えば、なんでこの学校の作りを知っていたの？
一松さんが頭がいいことも、なんで知ってるの？

「A？」
「あっ……＿＿＿」

疑問ループに入りかけた私を引き戻したカラ松さんは、不思議そうにこっちを見ている
この疑問の解明は、後ででいいか……

今は目の前の謎に取り掛かろう

「他に何がありますか？」
「いや……特には無いな。それより、何故かAのことについては一切の記憶が無くてな……何かあるかもしれない」
「僕、Aちゃんのことだったら、少しだけ覚えてるよ」
「そういえば、おそ松さんも私のことを知ってましたね……」
「十四松も、Aのことについて何か話していたような…」

3人で頭を悩ませる
しばらく考えてみたものの、やっぱりわからない

私も、私についての記憶が無い

少しならみんなにもここへ来る前の記憶はあった
それなのに、私だけ一切覚えていない

これもおかしな話だ

そして、何か物事が起こる場合、必ず原因となる何かがある

ここへ、連れてこられた元凶は私？

でも、なんのために、接点のない六つ子を連れてきたの？
なにかの思惑？

「おはよう、もう朝ごはんできてるよ」
「あ…おはようございます……」

私をチラ、とだけ見て目を逸らした一松さんに軽く会釈をしてテーブルに着く

「そう言えば、さっきトド松さん、私についての記憶があるって言ってましたよね……？」
「あ、あぁ………少しだけだけどね」

頷いたトド松さんは、私の前に座った

私はチョロ松さんに出されたホットミルクを引き寄せ、トド松さんの顔をのぞき込む

トド松さん、なんか話しにくそう……？

「あー……あのね、すごく言いにくいんだけど…」
「？なんですか？大丈夫ですよ、基本なんでも私は……大丈、夫……あ、れ？」

今、頭の中に『辛い』って言葉が溢れてきた

それだけじゃない

苦しい、悲しい、痛い、死にたい

どれもマイナスなことばかり

なに、これ

「僕の、Aちゃんの記憶、ね……」

チラ、と私を見て、言いにくそうにするトド松さんをみんなが不思議そうに見つめる

その中で私だけがその理由を理解していた

「泣いてた…んだよね」