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「私達の立場上、常に後悔と隣り合わせだ。だが、それはあくまでも仕事上での話、この過酷な職場で私情を挟むのは消して許されない。時として残酷な決断さえも強いられる時もあるだろう。現に私もお前もこれまでに幾度となく何百人もの部下を地獄へと導いてきた。」
「……何が言いたい？」
「簡単な事だ。簡単で、単純な事だと思うが。」
「……」
「リヴァイ、お前ならもうとっくにわかっているんじゃないか？」
「……」
「つまり私が言いたいのは仕事“以外”は調査兵団という組織にも、兵士長という立場にも縛られる必要はないと言いたい。」
「……」
「仕事以外の物事に後悔する必要は無い。お前はお前の思った通りに行動してくれて構わない。調査兵団や兵士長という立場に後ろめたさを感じる必要はないんだよ。お前にも幸せになる権利くらいはあるだろう？何歳まで生き延びたのかが重要なわけではない。同様に、何度も繰り返される壁外調査で何回生き延びて帰ってこられたのかが重要なわけではない。いかにして、どう生きてきたかが重要なんだ。」
「…。」
「…ピクシス司令からの伝言だ、ジゼルを幸せにしてやってくれ、とこの前王都に出向いた際に言ってきた。」
「馬鹿言え。…この職場上、約束は出来ねぇだろうが。」
「リヴァイ、お前はもっと生に執着してみろ。…ジゼルという生きる希望があってもおかしくはないんじゃないか？希望のあるところには新たな人生がある。希望は新しい勇気を
「…お前に説教食らってんのか、俺は。」
「ははっ、幾度となく説教はしてきたつもりだよ。」
「記憶にねぇな。」
「それは残念。だけど、ジゼルと前向きに向き合ってみなさい。きっとジゼルの事だ。ありのままのお前を受け入れてくれるさ。」
そう言ったエルヴィンは片手に持っていた書類を俺に押し付けたあと去っていった。手元に大量の追加書類がやってきたというのに、いつもの様に苛立ちは感じない。それどころか不思議な感覚が俺を襲う。
生きる希望。
その言葉が頭の中で何度も繰り返されていた。
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作者名：るかこ。 | 作成日時：2020年4月30日 13時
