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「初めて見た時から好き…だったんだ、お、おお、お前が良ければそ、その…付き合ってください！」
いつもの様に決して得意ではない執務に追われていた頃、俺の苛立ちは既に限界を超えていた。それなのに、今日はとことん運が悪い。何故、こんな現場に遭遇してしまったのか。場所を考えろ、と言いたくなる。だがきつく口を噤んだ。
エルヴィンのクソ野郎から追加書類だ、と次から次へと書類が渡され団長室の扉を蹴り飛ばしたのが事のきっかけであった。
擦れ違う兵達が俺に敬礼をしてくるが今はそれに構う気力すらない。いつから眠っていないのだろうかとも思える程に終わりの見えない執務作業。だが響き渡ってきたある一言で俺を襲っていた睡魔はどこかへ吹っ飛んでしまった。
目を凝らしてみれば困ったように眉を下げる女。紛れもない、あいつだ。金髪の腰下まで伸びた髪をさらり、と靡かせ宝石の様な大きくて丸い金色の瞳が困惑したように伏せられていた。
あいつらはまだこちらには気づいていない。何度も言うが何故、俺が遭遇してしまったのか。
「……舐めてるのか。」
無意識に口から出た声は自分でも驚く程に低かった。寝不足と、今目の前で起きている忌々しい現場に眉根にぐっ、と皺が刻まれる。あいつは確か、…ああ、そうだ。
エレンとよく一緒にいるジャン・キルシュタイン。クソ眼鏡曰く、以前からガキに好意を抱いていたらしい。まさかこうもあっさり行動に出てくるとは思わなかったが。
「あの、……ジャン。えっと、好きってどういう意味、かな？友達として…？」
そうだった。あいつは馬鹿だった。
「い、いや、えっと…異性としてだけど…、」
「……。」
「一目見た時からずっと好きだった。もし良ければ俺と付き合ってくれないか？」
額に汗を滲ませながらガキの返事を待つジャン。無意識に息を飲む。あいつは、なんと言うだろうか。
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作者名：るかこ。 | 作成日時：2020年4月30日 13時
