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「あたしはリヴァイ兵士長みたいに性悪ではありません！」
「……お前、言うようになったじゃねぇか。」
「あ、すみません……。つい、」
慌てて口に手を当てるジゼルにリヴァイはデコピンを食らわす。2回目のデコピンは、少し痛くて自然と額に手を持っていった。
「壁外に出て心境が変わったのか？」
「……うーん、説明しにくい、です。でも今まで以上に新型立体起動装置作成作業を頑張るつもりです！」
「ほう…、それは立派なこった。だが、今まで以上ではなく常に今まで以上に仕事に集中して取り組め。お前の少しのミスで俺や他の兵達死ぬ。」
呆気なく巨人の臭ぇ口の中で生涯を終える、と付け足したリヴァイ兵士長に大きく頷いた。物騒な事をサラリと言いのけてしまう目の前の人に苦笑いが零れた。
あたしの作業ミスがもし起きてしまえば一瞬で巨人の餌になる。立体起動装置はそれだけ壁外調査にとって重要な物だから。そしてそれを常に進化させていくのがあたしの大事な役目。
あ、そういえば、と木に背中を委ねているリヴァイ兵士長を見ればリヴァイ兵士長は案の定眉を顰めた。
「今日は念入りに髪を洗いますね。」
「……。」
少し乱れた自分の髪を掬い、ふふ、と笑えばリヴァイ兵士長は頬を引き攣らせた後、寝息を立てて気持ちよさそうに寝ているハンジさんの顔を容赦なく踏み付けた。
「…っ！リリリリリヴァイ兵士長！それは駄目です！ハンジさんの顔に跡が残ります！」
「ああ？てめぇ、こいつを女だと思ってるのか。ならとんだ勘違いだ。安心しろ、こいつは女でもねぇし人間でもねぇ。見ての通り人間の皮を被った奇行種だ。」
「…今日奇行種を初めて見ましたけどハンジさんとは似ても似つかなかったじゃないですか……って、あれ？」
初めて見た奇行種は嬉しそうにこちらを見て物凄いスピードで走ってくる、異様な生き物だった。印象的なのは本当に嬉しそうに満面の笑みを浮かべ、高揚感に溢れている、その顔。
……それが、とてもハンジさんと重なる。ハンジさんも実験の話や巨人の話となるととっても嬉しそうに、それはもうとろけてしまいそうな笑みを浮かべながら物凄いスピードでこちらに走ってくるからだ。
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作者名：るかこ。 | 作成日時：2020年4月30日 13時
