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リヴァイ兵士長と恋仲疑惑が出ていると言ったけれどとんでもない。……だけどあたしとリヴァイ兵士長の関係に名前をつけるとしたなら何なのだろう?名前すらない不思議な関係性に腕を組んで考え込んでみる。
……がどれだけ頭を働かせても答えは出てきてくれなくて。ジゼルははぁ、と長い溜息を零して倉庫の鍵を締め、食堂へと向かった。
通り過ぎる兵士たちがお腹を空かせたように腹を摩りながらもジゼルと言葉を交わしていく。随分と調査兵団に慣れたジゼルは言葉を丁寧に返していく。ジゼルの愛らしい仕草に訓練で疲れていた兵士も笑顔になっていく。
ヘラヘラ、とにやけながらジゼルの後ろ姿を見詰めていた兵士達。だが、その顔はみるみるうちに青ざめていった。それは悪魔でも見るかのように。
「リ、リ、リヴァイ兵長っ!」
鬼のような形相でこちらを睨むリヴァイに兵士は震えながら敬礼を施し冷や汗を流した。
「……てめぇら、その気持ち悪ぃ面をどうにかしろ。」
「は、ははいっ!申し訳ありませんっ!」
胸糞悪い、といつもよりも冷めた目で兵士を睨むリヴァイの圧倒的な威圧感に睨まれた兵士は瞼を固く瞑り大きく返事をした。
なぜ自分がリヴァイ兵長に睨まれているのかは分からないが三白眼に秘められている鋭い殺気に大きく身震いする。なにがなんだかわからない、だが人類最強と言われているリヴァイにかなうものなどこの兵舎に、否、この世界にはいない。
夕飯が楽しみでふふん、と鼻歌交じりで廊下を歩いているジゼルは自分の後ろでそんな出来事が起きているとは夢にも思わず軽い足取りで食堂へと向かっていた。
「リヴァイ、部下を怖がらせるな。」
顔を青白くさせ生気を失った兵士達が足早にリヴァイの元から去った瞬間、リヴァイの背中に掛けられた声。リヴァイを宥めるようなその声は言葉とは裏腹に飛躍的、穏やかだ。
「…エルヴィン、盗み聞きか?」
「いや、先程執務が終わってね。今から食堂へ行こうとしていた所だ。」
「今日は非番じゃなかったのか。」
「……非番だった。だが何をしていいのかわからなくてな。案の定気がついたら今の今まで仕事をしていたよ。」
「てめぇは仕事馬鹿なのか」
「至って頭の中は冷静だ。特にする事もないし行くところもない。そうなれば必然的に仕事をしてしまう、悪い癖だな…。」
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葉月十香るかこ。(プロフ) - 【ゆゆゆ 様】コメント有難うございます、嬉しすぎるお言葉まで更新意欲が上がりに上がります(´˘`*)リヴァイというキャラクターを崩さずこれからも頑張ります。 (2020年4月22日 0時) (レス) id: 2554dd6fe0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ - つい一気読みしてしまいました。心情の表現やお話の構成がとても好きです!これからの二人の進展がめっちゃ気になります…更新お待ちしております! (2020年4月21日 23時) (レス) id: a103d81c3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るかこ。 | 作成日時:2020年4月18日 14時