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遠くの方でエレン達に囲まれているガキを眺めていれば、エルヴィンが俺の横に並ぶ。なんだ、と目で訴えれば、エルヴィンは困ったようにして笑った。
「…他に報告する事でもあるのか?」
「……。ジロジロ見るな、気持ち悪ぃ。」
エルヴィンから視線を外した。だが暫くしてもエルヴィンの視線は突き刺さったままで。心底居心地が悪くなり、吐き出すように言葉を紡いだ。
「……餓鬼が食われかけていた。」
「っ…そう、か。……お前はそれを見てどう思ったんだ?」
「あ?…間に合ってくれと兎に角必死だった。情けねぇ話だが、その時の事なんざ覚えてねぇ。お前に隠してたつもりはねぇ、だがこれ以上口に出せばお前に当たっちまいそうだ。」
言いようのない激しい怒りがリヴァイの言葉に込められていた。誰にぶつけてもいいのかわからず、拳をきつく握り締める。その様子を黙って見ていたエルヴィンが小さく息を吐き、リヴァイの肩に手を置く。
「お前にも、ジゼルにも申し訳ない事をした。想定外だった事とはいえもっと先の物事を警戒しておくべきだった。」
「ああ、お前にしては大損害だな。そして大きなミスだ。」
鋭い眼光がエルヴィンを突き刺す。二人の間に無言の空気が流れていた。リヴァイが握り締めた拳からは真っ赤な血が流れ落ちていて地面に血溜まりを作っていた。
「ええええええ?!ジ、ジジジジゼル食われかけたの!?まじで!?嘘!!大丈夫?!えっ?リヴァイが助けてくれたの?え、ていうかジゼル怖くなかった?!漏らしてないッ?!」
「…てめぇは今すぐ巨人の腹の中に帰れ。そして二度と戻ってくるな。」
「いくら巨人愛好者の私でも腹の中は御免だよ!!」
先程まで泣き真似をしていたハンジが痺れを切らしたのか、リヴァイに詰め寄る。リヴァイの肩を揺さぶり顔を青白くさせたハンジはジゼルを見つけると一目散にジゼルの方へと走っていった。
騒がしい奴だ、と舌打ちを落とした瞬間、門が大きな音を立ててゆっくりと開く。どうやら開門の時間らしい。エルヴィンが馬に乗るのを確認した兵達が次々と馬に乗っていく。
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葉月十香るかこ。(プロフ) - 【ゆゆゆ 様】コメント有難うございます、嬉しすぎるお言葉まで更新意欲が上がりに上がります(´˘`*)リヴァイというキャラクターを崩さずこれからも頑張ります。 (2020年4月22日 0時) (レス) id: 2554dd6fe0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ - つい一気読みしてしまいました。心情の表現やお話の構成がとても好きです!これからの二人の進展がめっちゃ気になります…更新お待ちしております! (2020年4月21日 23時) (レス) id: a103d81c3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るかこ。 | 作成日時:2020年4月18日 14時