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「リヴァイには酷な命令をしたと思っている。だが、私は巨人の事と人類の謎に迫る事しか脳のない男だ。その為なら部下の命なんて惜しまない。幾らでも部下の命を差し出すだろう。こういった類の恨まれ役は慣れているさ。」
「……でも、リヴァイはエルヴィンを恨んだりしないよ。幾度なく死戦をくぐり抜けてきた同士なんだもん。それに口では言わないけどリヴァイは貴方をとても信頼している。だからこそどんな無茶な命令でも淡々とこなしてきたんじゃないか。それはエルヴィンが1番わかってる事だろう?」
「それはどうかな。長年築き上げてきた信頼関係は何かのきっかけで跡形もなく崩れさる。…愛というものは心底恐ろしい、時に人格ですらも変えてしまう。そしてそれは執着心へと変化し美しかったものが一瞬で醜い狂気に変わる。」
「へぇ。エルヴィンからまさか愛というフレーズが聞けるとはね。」
「……ハンジ、私だって人間だ。時に誰かを特別に想うこともある。」
「私は興味ないなぁ、巨人ちゃんをどう捕獲するか、どうお世話してあげようか、どう可愛がってあげようか、そればっかりで恋愛なんてしてらんないよ。」
呆れたようなエルヴィンと大袈裟に肩を上げ首を横に振ったハンジの会話にモブリットは動かしていた手を止め、苦笑いで二人の会話を聞いていた。
相変わらずハンジの巨人好きは健在で。日が増す毎に巨人愛好家になっているが気がする。この世界で巨人が大好きだと胸を張って言えるのはこの人だけだと、我ながら凄い上官を持った、とモブリットは思う。
だが密かにハンジのことを尊敬しているのも確か。周りは激しい憎悪と嫌悪で巨人を見る中、ハンジだけは好奇心で巨人と向き合う。色んな角度から巨人を視察するハンジは調査兵団には必要な人材だった。
ハンジとエルヴィンは居なくなったリヴァイの話題で盛り上がる中、モブリットは少しだけ軽くなった心で今日の会議の報告書を書き綴っていたのだった。
そう、儚くもあるが美しい彼女の微笑を命に変えても守らなければならない。────絶対に、失うわけにはいかないんだ。
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葉月十香るかこ。(プロフ) - 【ゆゆゆ 様】コメント有難うございます、嬉しすぎるお言葉まで更新意欲が上がりに上がります(´˘`*)リヴァイというキャラクターを崩さずこれからも頑張ります。 (2020年4月22日 0時) (レス) id: 2554dd6fe0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ - つい一気読みしてしまいました。心情の表現やお話の構成がとても好きです!これからの二人の進展がめっちゃ気になります…更新お待ちしております! (2020年4月21日 23時) (レス) id: a103d81c3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るかこ。 | 作成日時:2020年4月18日 14時