33-50 ページ33
腕を組んだリヴァイは悲しそうに目を伏せるジゼルを見る。長い睫毛が縁取られ、ジゼルのきめ細かい頬に影を落とす。ジゼルはリヴァイの裾をちょこん、と掴むとその場に座らせるように下へと引っ張る。
潔癖なリヴァイは決して地面に座らない。だが今日は誰の血なのかも分からない血塗れ状態だ。リヴァイはジゼルの言われた通りにどかり、と地面に座り、ジゼルに腕を差し出した。
恐怖で混乱していた新兵がブレードを振り回した挙句、ブレードを投げ飛ばしたのだ。その先には運悪くリヴァイが戦闘を繰り広げていて。間一髪でブレードを避けたリヴァイだったが腕を深く切ったみたいだった。その新兵はリヴァイが奇行種の相手をしている間に踏み潰されてしまっていた。
「リヴァイ兵士長、染みるかもしれないですが痛かったら言ってくださいね?」
「……お前、俺が痛いと泣き叫ぶひ弱な男に見えるのか?」
「……見えないですね。すみません。」
眉間に皺を寄せたリヴァイにジゼルが謝りながらも慣れた手つきで薬を塗っていく。確かに先程の兵士が言ったように傍から見れば医者の娘のようだった。間違われるのも無理はないだろう。
「お前、どうやって薬の調合を習った。クソ眼鏡か?」
「あ、いえ。実際に薬の調合をしたのは初めてです。だけど地下室にいた頃、毎日の様に本を読み漁っていましたから。何度も同じ本を読んでいたので自然と身についたみたいです。」
「ほう…、独学か。」
「ふふ、そんな大層なものではありませんよ。だけどまさかこんな形で役に立てるとは思いもしませんでした。」
「……ただの足でまといにならずに済んで良かったな。」
「はいっ。」
素早いスピードで、それなのに尚且つ的確に手当を施していくジゼルの手つきにリヴァイは心の中で感心する。医療班もジゼルの調合した薬草を使い、負傷者を手当しているようだった。
すう、と溶け込むような爽やかな薬草を目を細めて観察していれば包帯を巻き終えたジゼルが死者を乗せた荷馬車を見詰める、今にも泣き出してしまいそうなジゼルの瞳にリヴァイは息をとめた。
「あいつらにとっては残酷な事だがそう思っているのはあいつらだけじゃねぇ。」
「……え?」
リヴァイを見ればリヴァイも荷馬車に視線を向けていて。いつもとは違う弱々しい光を宿しながらゆっくりと口を紡いだ。
25人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葉月十香るかこ。(プロフ) - 【ゆゆゆ 様】コメント有難うございます、嬉しすぎるお言葉まで更新意欲が上がりに上がります(´˘`*)リヴァイというキャラクターを崩さずこれからも頑張ります。 (2020年4月22日 0時) (レス) id: 2554dd6fe0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ - つい一気読みしてしまいました。心情の表現やお話の構成がとても好きです!これからの二人の進展がめっちゃ気になります…更新お待ちしております! (2020年4月21日 23時) (レス) id: a103d81c3f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:るかこ。 | 作成日時:2020年4月18日 14時