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目を細めてジゼルを見下ろしたリヴァイの綺麗な顔には小さな笑みが浮かばれていた。目を潤わせたジゼルは未だに流れ続ける涙を拭おうともせず大きく頷いて、優しく微笑んだ。
暫く泣き続けていたジゼルに呆れたリヴァイがいい加減にしろ、と身につけていたクラバットをはずしジゼルの顔を擦りつける。手加減も知らないソレにジゼルはなんとも言えない叫び声を上げた。
「泣きやめ、早急に。」
「いいいい痛い、痛いっ!痛いですッ…!」
力加減を知らないリヴァイ兵士長。あたしは悶絶するかのようにしてリヴァイ兵士長を突き飛ばしてしまった。
「……」
「……」
「…てめぇ。」
「……っすすすすみません!」
やってしまった。そう思い慌てて立ち上がる。リヴァイ兵士長の眉根の皺がいつもの倍は刻まれていた。
突き飛ばされたリヴァイ兵士長は近くにあった椅子を掴みなんとかバランスを保ったが突き飛ばしたことはあっても誰かに突き飛ばされた事がないのだろうか、その瞳は驚愕に染まっていた。
「お前、上官を突き飛ばすか普通。」
「…それはっ、本当に不可抗力というやつで……っ、」
「いい度胸してるじゃねぇか…。少し、否、かなり効いた。」
「本当にすみませんでしたっ。」
リヴァイが突き飛ばされる、こんな場面をハンジが見てしまえばそれはもう大爆笑していただろう。一生話のネタにされそうだ。
必死に頭を下げるジゼルはヒリヒリする目元を触った。不器用なりに涙を拭ってくれたリヴァイ兵士長は今は途轍もなく不機嫌顔だ。仕方がない、それは本当に不可抗力だ。
それでもリヴァイ兵士長の本音が聞けてあたしの心は裏腹にスッキリしていた。守れねぇ、と小さく呟いたリヴァイ兵士長の果てしなく大きな背中を見た気がした。
ほんの少し、あたしに曝け出してくれた気がした。だから、嬉しかった。
リヴァイ兵士長の背負っているものを、調査兵団という組織を、そしてそんな残酷だと言われる世界をあたしも見てみたくなった。
普通なら許されることではない。好奇心だけで壁の外に出ることは自 殺行為に等しい。
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葉月十香るかこ。(プロフ) - 【ゆゆゆ 様】コメント有難うございます、嬉しすぎるお言葉まで更新意欲が上がりに上がります(´˘`*)リヴァイというキャラクターを崩さずこれからも頑張ります。 (2020年4月22日 0時) (レス) id: 2554dd6fe0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ - つい一気読みしてしまいました。心情の表現やお話の構成がとても好きです!これからの二人の進展がめっちゃ気になります…更新お待ちしております! (2020年4月21日 23時) (レス) id: a103d81c3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るかこ。 | 作成日時:2020年4月18日 14時