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なんで連れてこられたのだろう、またあたしはなにかしてしまったのだろうかと頭で考えるも心当たりはない。それに最近は作業に追われてリヴァイ兵士長と話す機会すらなかった。色々な心当たりを探しているうちに上品な香りを漂わせた紅茶が目の前に置かれる。
小さくお礼をいえば短く返事をしたリヴァイ兵士長がドカり、と向かい側のソファーに座った。そして紅茶をひとくち口に含むと三白眼があたしを睨む。……矢張り、何かしちゃったのだろうか。
「……何故、断らなかった。」
「…………へ?」
「…壁外だ。お前が嫌だと行きたくないと駄々を捏ねていればきっとエルヴィンの奴も諦めていた。」
「…。」
リヴァイ兵士長の言葉に嗚呼、と頭の中でようやく今までの話が繋がる。
リヴァイ兵士長はあたしが壁外調査に参加する事を良く思っていない。それはリヴァイ兵士長の目を見て一目瞭然だった。全てを拒絶するような目があたしを捉えて逃がさない。だけどあたしも考え無しでエルヴィン団長の提案を飲み込んだわけではなかった。
「……迷惑、ですか?」
「ああ、迷惑だ。」
息が詰まる。わかってる、わかっていたこと。だけど、
「……この世界の現状を、現実をこの目で確かめたかったんです。父が遺した新型立体機動装置は壁の外でどんな活躍をしてくれているのだろう、とか…公に心臓を捧げた誇り高い兵士達を見たかったんです。」
「そんなふざけた戯言が通用したってか?笑わせんじゃねぇ。これだから餓鬼は嫌いなんだ、お前は甘く見すぎだ。この世界は単純に出来ていねぇ。お前が壁外にどういった幻想を抱いてるのかは知らねぇが、壁外ってのは地獄そのものだ。」
「……」
わかってる。エルヴィンがこいつに壁外の話を持ちかけたことは。仕方がなかった、壁外に連れていくしか選択肢はなかった。わかっているのに、納得がいかなかった。
もしこいつが巨人に食われたら、と考えるだけで気が狂ってしまいそうな錯覚に襲われる。目の前で目を伏せたガキに胸がひどく痛んだ。またこの顔をさせた、こいつのこんな顔を見るのは一体何回目だろうか、とふと考える。
「…守れねぇ。」
「え?」
「お前にもし何かあっても俺はお前を守ってやれねぇ。」
「…リヴァイ兵士長、」
────兵士長という立場上、何よりも優先すべきなのは与えられた任務を遂行すること。
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葉月十香るかこ。(プロフ) - 【ゆゆゆ 様】コメント有難うございます、嬉しすぎるお言葉まで更新意欲が上がりに上がります(´˘`*)リヴァイというキャラクターを崩さずこれからも頑張ります。 (2020年4月22日 0時) (レス) id: 2554dd6fe0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ - つい一気読みしてしまいました。心情の表現やお話の構成がとても好きです!これからの二人の進展がめっちゃ気になります…更新お待ちしております! (2020年4月21日 23時) (レス) id: a103d81c3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るかこ。 | 作成日時:2020年4月18日 14時