白き君と最期を共に。【AU】【Aftertale】 (ページ11)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:3,542 hit

Flowers ページ11

花

━━━━━━━━━━━━━━━

「やあ！」

誰だろう。コイツは…。

目の前に現れたのは前回と違い、人間でもモンスターでも無く…喋る金色の花だった。具体的に言えば、顔が付いていて、自分の意思で喋って動くさっきの落ちてきたところに咲いていたやつと同じ大きな金鳳花。

…、これモンスターなのかな。うん。多分モンスターだ。

今まで虫のモンスターやカエルのモンスターも見てきただろう。花だっているさ。

「君は？」

「僕はフラウィー。お花のフラウィーさ！」

わざわざご丁寧にお花のと言われなくても見たら分かるんだが。まあ、この花…いや、フラウィーの優しさとして文句は付けないでおこう。

「君この地底の世界に落ちてきたばかりでしょ？」

否定したい。もう1回落ちてきましたって言いたい。けど、言ったら墓穴掘りそうだからやめておく。

「まあ…、そうですね。」

「ふふ…。じゃあ、さぞかし戸惑っているだろうね。」

まあ、死んだらまた生き返ってさっきまでは少し戸惑っていたわけが、今はそんなに戸惑っている訳ではない。それに、ここから先に進んでいく目的もハッキリ…とまではいかないがちゃんとある。

「別に戸惑っては無いです。」

「え…？あれ…。…えっと、」

私の返答が予想外だったのか、フラウィーと私の間に数秒の沈黙が流れる。少し…否、とても気不味い雰囲気である。大人しく戸惑っていると答えたら良かったかもしれない。

葉っぱを人で言う顎…？のようなところに当てて、フラウィーはブツブツと何かを小さく独り言を言い出した。

おいおい、落ちてきたばっかりの戸惑ってる(ない)人間を放置しちゃだめだろ。可哀想だろう。

「あの…。もう先に行ってもよろしいですか？」

どこかの悪役風に言えば…、「こんな茶番劇には飽き飽きした。」かな。

茶番も何もしていないけど。

私は早くトリエルさんに会いたいんだよ。どうしても。絶対。ハグしたいんだよ。

花だから分からないだろうね。

「え、ダメだよ。まだこの世界のルールとか知らないでしょ？」

そうフラウィーは「当たり前でしょ？」と言うような真顔で言った。

何だこの表情…、憎たらしいな。潰してしまいたくなる。

いや、流石に本気で潰したい訳では無いが…。