極度の対人恐怖と悪女さん。【AU】 (ページ48)

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ギィッ…、と音を立てて扉が開かれるとその瞬間先の尖ったナイフが顔の横を飛び去った。

すこし頬を掠ったのか、頬がヒリヒリと痛む。

「やぁ！わざわざ自分から来てくれるなんてね！偽善者サン！」

出迎えてくれたのはいつものクロスさんでは無く、口元だけは薄っぺらい笑みを浮かべて私の首元にナイフを突きつけるキラーさんだった。

「偽善者サン」とは何のつもりだろうか。

確かに私は偽善者だ。セリーナさんを助けるふりなんてしておいて、エラーさんに唆されそうになるほどに。

「さっきぶりじゃないですか？」

そう言い放てばキラーさんは「なんの事？」とまるで私が間違っていることを言っているかのような表情を見せた。

とぼけるのも大概にして欲しい。

「まあ、いいよ。入ってよ、君がいなきゃ全部始まらない。なんせ、君はセリーナをいじめた偽善者なんだからね！」

そう述べたキラーさんに「は…？」と小さく声が漏れる。

どういうことだ。

セリーナさん…？私がセリーナさんに何をしたというのだ。

それに、少し前に見ただろう。セリーナさんが私をキラーさんから引き剥がすところを。

「ボス〜、本日の主役〜！」

「……、」

アジトのリビングあたりにキラーに案内され、行くと、そこにはメ…いや、ナイトメアさんに触手で引き寄せられ頬を染めているセリーナさんと…。

あのヒトたちは傍観者と呼んでおこうか。そんな私たちの様子を見るかのように椅子に座っているマーダーさんや、ホラーさん、クロスさんがいた。

イマイチ状況の理解ができない。

「…お前、オレのセリーナをいじめたらしいな…。」

そうナイトメアさんに冷たく言い放たれる。

いつも様子が違う。

セリーナさんは混乱している私の表情をみてニヤニヤと笑っている。

ああ。ありがとうセリーナさん。あなたの表情で全部理解した。

嵌められたんだね。私。

でもそれにしては展開が早すぎると思う。

洗脳でも使ったのだろうか。

ひとつずつ理解して行く方が安全か…？

そこで私はひとつため息をついた。