神様… ページ6
不安で押しつぶされそうになっていた俺のもとに
1本の電話が入った
「あの〜…お宅は北山さんで間違いないでしょうか」
「あ！！は、はい…なんでしょうか…？」
聞いたことのないかしこまった声
その声からは少し焦りの色が伺えた
俺はドクドクと鳴り止まない心臓を必死に抑え
受話器に耳を傾けた
「こちら△△病院ですが、Aさんのお知り合いの方ですか」
「あ！！え、ええ。そうですけど、Aがど、どうかしたんですか…？？？」
「ご家族に連絡がつかないので、電話帳のお気に入りに登録されていた北山さんに連絡させていただきました。彼氏さんですか？」
「ええはいそうですけど！！！どうしたんですか！！！なにがあったんです！！！」
「ああ…あの実は…Aさん、交通事故にあってしまいまして…」
「え…………」
「頭を強く打ったようで、意識不明の重体で…」
「いっ、今は…！今はどうしてるんですか…大丈夫なんですか…！！！ねえ！！！！」
「まだ目を覚していません。今かなり危険な状態でっ…最善を尽くしますがとても危ない状態なので…」
「……っ…。わ、わかりました…すぐ…すぐに…行きます」
俺の嫌な予感は的中だった
俺の頭の中はもう真っ白
何も考えられなくてただただ無事を祈るしかできなくて
心配で心配で苦しくて
呼吸を整える間もなく何も持たずにただただ車を走らせたんだ
神様お願いします…
どうかAを助けてください…
ただその一心だった
俺のすべてだった、君を
失うのが怖くて仕方なかった
早く君のくしゃくしゃな笑顔を見たかった
窓の外の景色は
滲んでよく見えなかった
それでもただただハンドルを力いっぱい握り
車を走らせた
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作者名：るー | 作成日時：2018年8月6日 3時
