今朝よなほ、あやしくかはるながめかな【我妻善逸】 ページ8
善逸は、とてもご機嫌だった。
というのも、つい昨晩、出会ってからずっと求婚をし続け、つい先日ようやく婚約に至った同期の可愛らしい女の子と契りを結んだからである。
なんだか、今日の任務には怯えずに迎えそうである。なんせ、彼は今最強なのだ。
(あー、褥の中のAちゃん、びっくりするくらい可愛かったなぁ〜)
「おい、紋逸！ニヤニヤして気持ち悪ぃ！腑抜けた顔すんな！」
「えへへ……伊之助、お前は何も知らないんだなぁ〜」
「は？何言ってんだお前」
共同で任務に向かう伊之助に、なんでもないよぉ〜、と間抜けな顔でニヤケを隠さずに笑いかければ、伊之助は顔を青ざめさせて危険動物から距離を取るように善逸から離れていった。
まるで、世界が色づいたようだ。
今ならチュン太郎とも言葉を交わせるような気がする。
道端の花も輝いて見えるし、空はまるで善逸を歓迎しているように澄み渡っていた。
風は爽やかに通り過ぎて、善逸の羽織を揺らす。
いつもならば、角張るばかりで柔らかくもなんともない男である伊之助の手など触りたくもないが、今すぐその手を取って踊り出したかった。
なんせ彼は、昨日、想い人と一夜を共にし、愛を囁き合い、沢山愛して、愛されたのだから。
柔らかい肌や髪を思い出して、自然と頬が緩む。
「うふふふふふふふ」
「気持ち悪ぃ野郎だな……おい、権八郎！こいつ変なもんでも食ったんじゃねえか？」
「うーん。いつも通りじゃないか？」
「炭治郎！お前の目は節穴か？俺は昨日、男として一皮も二皮も剥けたんだぜ」
きりっと眉を引き締めて、炭治郎にドヤ顔をかます。
「だからか。善逸から、Aの匂いがすると思ったんだ」
「ああ…ホワホワすんのはそのせいか。甘ったるい、女の匂いがする」
「ちょっと！？Aちゃんの匂いって何！？嗅いでいいのは俺だけなんですけど！？」
「めんどくさいぞ、善逸。先に行くからな」
「アッ、置いてかないでくれよぉ！」
溜息を吐いて、炭治郎は先を歩く。
Aを思い出して惚けていた善逸は、慌てて彼らの後を追いかけた。
***
今朝よなほ あやしくかはる ながめかな
いかなる夢の いかがみえつる
───────進子内親王
「今朝起きると、まるで世界が変わってしまったようです。昨日までの私はもういません」
風雅集より
むなしくて、明けつる夜はのおこたりを【冨岡義勇】→←逢ひ見ての、のちの心にくらぶれば【伊黒小芭内】
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もも - カケさん» ？？？？？ (3月14日 15時) (
レス) id: 12bc70a190 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - カケさん» リクエストでしょうか…？ (3月14日 13時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
カケ - いかにして 過ぎにしかたを 過ぐしけむ 暮らしわづらふ 昨日今日かな (3月14日 10時) (レス) id: 7739bf6d58 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - リリアさん» いつもありがとうございます。文章は結構こだわっている小説になるので、褒められてとても嬉しいです！リクエスト了解いたしました。少々お待ちください。 (2月22日 0時) (レス) id: 1d55cf96a6 (このIDを非表示/違反報告)
リリア - いつも楽しく読ませて頂いてます！文章が綺麗でとても素敵です！リクエストなんですけど、百人一首の中納言敦忠の「あひ見ての後の心に比ぶれば昔はものを思はざりけり」という歌でお話しが見たいです。長文すみません！ (2月22日 0時) (レス) id: 0f152dd892 (このIDを非表示/違反報告)
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