＊38話＊ 妖精ビット！ ページ38
最近寒いなぁ…とメインストリートを歩いていてふと思う。
赤や黄色に染まった木の葉を被ったグレートセブンの像もどことなく寂しげに見えるこの季節、まさか四季があるとは思っていなかったけど、秋だ。
やはりここは私の知っている世界のどこかにある国ではない。
どうしても焼き芋が食べたい…と思いながら足を進めていると、パチパチと火の粉が弾ける音が聞こえた。
……焼き芋？
私がいた世界では寒くなると石焼き芋の屋台が道を練り歩いていたけれど…まさか、天然物の焼き芋なのでは…！？
私は音を頼りに森の奥深くへと足を進めた。
自分が方向音痴であることは忘れて。
「ここどこぉー！？」
叫んだ声はどんよりと重たい曇り空に消え、バサバサと鳥が羽ばたいて飛んで行った。
なんか見たこともないところに出てしまったんだけど…本当にどこ？
もう諦めるしかない…と思いながら歩いていると、がさっと後ろの茂みから音が聞こえた。
なな、な、なんかいるの！？
ビクビクしながら蛇に睨まれたカエルのように動かずにジッと音のした方向を見つめる。
な、何がきても魔法暴発させてやるからな！！
意気込んでマジカルペンを握りしめる。あ、私のマジカルペンどの寮にも属さないってことで、ピンク色してる。オバブロには気を付けます。
「お、Aか」
「ぁ…マレウス先輩でしたか…」
「魔法ぶっ放すところでした」と胸を撫で下ろすと、マレウス先輩はさも当然のように「Aの魔法が当たったところで傷一つ付かないから安心するといい」と言い放つ。
いや、そうなんだけど…。
マレウス先輩自信満々だな…私一応女神族よ？
妖精族には及びませんか、そうですか…。
「迷子なんです」と素直に言うと、目を見開いたマレウス先輩は「ついてくると良い」と笑って歩き出した。
そう言えば、さっきのパチパチって音…なんの音だったんだろう？
不思議そうに辺りを見回す私を見て、マレウス先輩は「どうかしたのか」と慈悲深くも声をかけてくれる。
「火が弾ける音がしてたんですけど…」
「あぁ、“インプ”だな」
「いんぷ？」
「あぁ」と相槌を打ったマレウス先輩は歩きながら“インプ”について説明してくれた。
どうやら妖精らしい。昔は森に多く生存していたが、今はこうして魔法世界で暮らしているとか。
尖った耳に尻尾を持ち、膨れたお腹をしている小人。悪戯好きだが人助けもよくする、糸紡ぎが得意。
時代の変化ごとに悪魔に分類されてしまったと言う。
マレウス先輩は物知りだなぁ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 274人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
松々先輩(プロフ) - マチさん» ありがとうございます！！私も明晰夢見たことないんですが、妹が見たことあるらしくて…自分の思い通りの夢ってめっちゃ羨ましい…！コメントありがとうございました！！ (2020年7月24日 13時) (
レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)
マチ - 面白いぃぃぃぃぃ!!えっ明晰夢見てみたい((( (2020年7月24日 2時) (レス) id: 9256472735 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
