＊30話＊ 星空フライング！ ページ30
冷たい夜風が頬を撫で、髪をくすぶる。
怖さに目を瞑っていれば、そっと腕を掴まれて目を押さえていた手を退かされた。
怖い怖いと騒ぐ私に、カリムは笑って「大丈夫だ」と耳元で言う。その声が太陽みたいで、やっぱり彼は寮長の器なのだと理解する。
目を開けるとそこには大きなお城…校舎が。
夜の闇に溶ける城に、所々灯りが灯っていて、まるで宝石を散りばめたような。空に輝く星の涼しげな色とその暖かな色が対比をなして美しい。
すごく綺麗…！！
おとぎ話のお姫様も、こんな景色を見ていたんだろうか。考えても仕方がないことなのに、どうしても考えてしまう。
「すごい、すごい私こんな綺麗な景色見たことない！」
「はは！お世辞でも嬉しいぞ！そら、もっと飛ばすからちゃんと掴まっておけよ！」
「わっ！？」
ビュンッと効果音がつきそうなほど飛ばしたカリムは、もっと上、雲を突き抜けた上空へ出る。
すごく寒いはずだけど、全然寒くない。
これも魔法なんだろうか、と思いながら明るい月を見ていると、カリムが私の髪を指に絡ませてチュ、と口づけを落とす。
……な、なにされても驚かないんだからね！！
なんて考えるけど、顔はずっと赤くなっていくばかり。熱いくらい…。
どうしよう、こんなところ見られたら…。
「はは！」と笑ったカリムの顔を見ると、とても優しげな顔で笑っている。
「か、カリム…そろそろ戻らない？」
もし落ちたら、と考えるともうその先は考えたくなくなる。
前に高い場所から落ちたから、もう2度と落ちたくないし。トラウマになっているんだろう。
少しなら、と思ったけど…もう限界、下を見ちゃったから。
縋る思いでカリムの服を掴んでいると、震えに気づいたのかカリムは私の手をギュッと握る。
「俺を信じろ！」
「…なんて？」
「俺を、信じろ」
そう言ってニカっと笑ったカリムの顔が、夜なのに太陽みたいで。
この会話…どこかで聞いたことがあるような。
あぁ、いいな…うん、すごく素敵。昔憧れていたような景色が広がってる気がする。
えぇと、なんだっけ。「俺を信じろ」と言ったら、なんて返すんだっけ。
あ、そうだ。
「ええ、いいわ」
そう言ってカリムの手を握り返す。
イケメンの手握っちゃってるんだけど！！ねぇどうしよう命日かな！？
内心すっごい焦ってるけど、見かけだけは焦っていることを悟られないようにニコリと笑う。
でもちょっと怖いし、カリムに掴まっておこう。
勿論帰った時ジャミルに怒られたし、何故かアズールにも怒られたけど、夜空の散歩はまたやりたいな。
＊31話＊ 威厳ディアソムニア！→←＊29話＊ 夜空ミステリアス！
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松々先輩(プロフ) - マチさん» ありがとうございます！！私も明晰夢見たことないんですが、妹が見たことあるらしくて…自分の思い通りの夢ってめっちゃ羨ましい…！コメントありがとうございました！！ (2020年7月24日 13時) (
レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)
マチ - 面白いぃぃぃぃぃ!!えっ明晰夢見てみたい((( (2020年7月24日 2時) (レス) id: 9256472735 (このIDを非表示/違反報告)
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