38話 ページ38
side 倫太郎
家に帰って、冷蔵庫から買い貯めておいた缶ビールを取り出す。
やってらんないな…とか思った日にはヤケ酒をすることも珍しくはなくなった。
高校時代から好きだったあの子から受ける恋愛相談に親身になって、結局あの子は“想い人”とくっついてしまったようで。
長い長い片思いがこうも簡単に終わると、今までのものがなんだったのか、とカミサマにでも聞いてみたり。
軽快な音を立てて缶ビールを開けると、喉を鳴らしてそれを流し込んだ。
俺の恋心を流し込むみたいに。無かったことにできたらいいのに、と思っているうちはまだ彼女を忘れられていない。
彼女にとっての俺のイメージ…簡単に言えば、“一番の男友達”ってやつなんだろう。
……彼女の相手が、“ただの男”だったら、俺だって『奪い返してやろう』とか言う気、起きたのかもしれないけど…。
相手はあの“宮侑”の双子の片割れで、高身長イケメン自営業、しかも元運動部。
そりゃ、みんな好きになるし、彼女だって例外じゃない。
それでも、もしかしたら…相談に乗ってあげている間にでも、こっちに目移りしてくれたら…なんて淡い期待を抱いてはいたんだけどな〜。
「やっぱ、無理だったか」
そう呟いた声は、テレビのコマーシャルの音にかき消された。
なんとなく、わかってたけど。確信に変わるとは思わなかったな。
もうちょっとくらい希望のある片思い期間、楽しませてくれたって良いのに。
そう思って2本目の缶ビールを開けようと手を伸ばすと、そのすぐ横に置いてあったスマホが振動する。
こんな時間に…？
不思議に思って手に取ると、その画面には“A”の文字。
“うまく行った”とか、そんなことだったら良いのに。だって諦め切れるでしょ。
もし、泣かせたら容赦しないから。本気で奪われると思っときなよね。
そう、彼女の想い人に頭の中で囁く。
俺が電話に出ると、Aは小さくもしもし？と呟いた。
…なんか、元気ないみたいだけど？
「どうかした？」
『…うん、あんな。アタシ…』
「…A？」
何かを堪えるような、そんな声。
『アタシって、魅力ないん…？』
「え…」
珍しい。あのAがこんな弱気になるなんて。
なんかあった？と聞くと、画面の向こうから小さな嗚咽が聞こえた。
「何があったの、ゆっくりで良いから」
『…宮が、』
その話を聞いたとき、俺はさっきまで少し入っていたアルコールなんて全部抜け、水をかけられたように頭がスッキリしていた。
泣かないで、とか、俺のとこに来なよ、とか、そんな言葉は言えなかった。
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松々先輩(プロフ) - のんさん» ありがとうございます！！最近私生活も落ち着いてきたので、今日更新予定です！ (8月5日 17時) (
レス) id: 480ed93775 (このIDを非表示/違反報告)
のん - 久しぶりにこの神作品開いたけどやっぱり神作!!主様のペースでゆっくり更新続けて欲しい!!まぢ応援してます!無理は禁物!! (7月31日 11時) (レス) @page45 id: 7e78e362e0 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - 雷さん» 大丈夫です。ありがとうございます頑張ります！ (2022年8月12日 10時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
雷 - 松々先輩『ありがとうございます頑張ります』が癖になってますけど大丈夫ですか？ (2022年8月12日 10時) (レス) @page5 id: 1c759860fa (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - のんさん» ありがとうございます！頑張ります (2022年8月7日 0時) (レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)
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